第23章はこちら。
海の水が退いていくのはわりと地味な描写でも、水が戻ってくるのは文字通り怒涛の展開。「インターステラー」の津波にもあきれたが、この作品も大波がやってきてエジプト兵を海中に引きずり込んで行く。イーストウッドの「ヒアアフター」が東日本大震災に配慮して上映を中止したのを思えば、もうなんでもありになっちゃったんだなと感慨。
その大津波が眼前に迫っているのに一騎打ちなモーゼとラムセス。リドリー・スコットのデビュー作が「デュエリスト/決闘者」だったことを思い起こさせる展開。
さて、ヘブライの民を引き連れてモーゼの旅はつづく。「十戒」で描かれたように偶像崇拝に走り、享楽的な宴を愉しむ彼らに、神とモーゼはある方法で戒めをしたためる。ここはセシル・B・デミル版とはえらい違い。預言者は、自分の死んだあとのこともしっかりと考えていたのでした。で、その十の戒めとは以下のとおり。
1.神が唯一の神である
2.偶像を作ってはならない
3.神の名をみだりに唱えてはならない
4.安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ
5.あなたの父と母を敬え
6.殺してはならない
7.姦淫してはならない
8.盗んではならない
9.偽りの証言をしてはならない
10.隣人の家を欲しがってはいけない(妻、奴隷、牛、ろば等全て)
で、キリスト者ではないあなたは、このなかのいくつを守ってます?わたしは……
この映画をリドリー・スコットは自殺した弟のトニー・スコットに捧げている。
第25章「日蓮」につづく。