第八回「調略」はこちら。
前回の視聴率は17.1%。ハードな内容のわりには落ちが少なかった。だけでなく、真田パパ(草刈正雄)のどす黒さが大評判(ネガティブなのも含めて)。およそここまで善人面してヒールな主人公の大河ってあっただろうか。
昨夜は、城マニア小学校教師、社会科中学校教師、そしてのんきな中学校事務職員の三人が焼酎Barで午前様。真田丸で激論。国立大出身の専門家たちと、二流私大卒で日本史未履修な文学部出身では勝負になりましぇん。おほほ。
「定説では……」
その定説を知らないんだから(笑)。でもこっちの強みは、ふたりよりもはるかに徹底的に三谷ドラマを見てきたこと。やったるでー。
で、「調略」につづいて今回は「駆引」。タイトルだけでわくわくします。主人公は鷹。北条氏政(高嶋政伸)に餌付けされた彼(雌かもしんないけど)は、神の目となって徳川、真田の苦況を冷静に観察する。むしろ北条の現状を静かに見つめているとすら。
昨夜の飲みでは、やはり武田信玄の存在は圧倒的だったのが定説だと。だから圧倒的な強者がいればそれだけ死者は減るという理屈が持ち出される。わたしは木下恵介の「笛吹川」に感動した人間なので、信玄を人でなしではないかとも思っている。
強者云々の理屈を持ち出したのはなんと初恋の相手、梅(黒木華。祝日本アカデミー賞二年連続受賞)。信繁(堺雅人)は感動して彼女の手を握り……あそこでなんもしなかったら男じゃねーぞ。
真田パパは信濃を永世中立国家的に夢見ていて、ああこれはいくらなんでも、と思っていたら例によってすぐに撤回(笑)。
「お前は優しすぎる」
前回の黒さにこだわる信繁。いつもの大河のように主人公が無垢で庇護される展開かと思ったら、初体験を経過して、信繁は文字どおりいきなりオトナになります!
わかるわー、童貞を捨てると万能感が(短い間だけど)つづくんだよね……という色っぽい展開。わけもなく“もうひとりの女”(長澤まさみ)に気弱になるあたり、わかるわかる。あわわわ。
「調略」で、ここまでどす黒いことをやりますよというラインを引いて、だからこそ好き放題の展開を用意。まさかここに来てもっと面白くなるとは思わなかったなあ。今回は18%超えと読みました!おもしれぇーよ真田丸!
第十回「妙手」につづく。