2017年7月号PART2「冷笑と哄笑」はこちら。
「政府にもの申せぬ日銀になっている」
先月、日銀政策委員会の審議委員を退任した木内登英(たかひで)野村総研エグゼクティブ・エコノミストの発言。彼は黒田東彦総裁の方針に反対し続け、退任によって執行部に反対する勢力はいなくなったとされている。
日銀の異次元緩和策が成功していると考える人は、どれだけ現政権を支持していてもいないことと思う。いるとしたら、「この緩和策がなかったらもっとひどいことになっていた」と主張するしかない。そんな人でも、政府と日銀が一枚岩になっていることへの不安は共有してもらえるのではないだろうか。中央銀行と政府の方針には、ずれがあるのが当然であり(だって目的が違うんだから)、政府与党のリクエストに諾々と従うだけの中央銀行にはたして存在価値があるのか。
しかも木内氏は、守秘義務があるのでとはっきりと表明しなかったが、日銀内部の議論について
「議論の質は必ずしも良い方向には向かわなかった」
と吐き捨てている。だいじょうぶなのか日本銀行。
PART2「炎と憤怒」につづく。