「怪盗グルーの月泥棒」「怪盗グルーのミニオン危機一発」と、気がつけばグルーの映画はちゃんと映画館で観ています。それはもちろんミニオンズの魅力に抗えないためだけれど、それだけじゃない。このシリーズは、なぜかわたしの世代に向けたギャグがたくさんしこんであるから。
思えば第1作のオープニングでレイナード・スキナードが流れるなど、選曲がとにかく変なの。主要な観客は子どもたちだろうし、その親を狙うとすれば90年代あたりの音楽が最適なはずなのに、常に70~80年代の曲が選択されるのはなぜなんだろう。
今回もかなり変。
「悪党の音楽を流せ!」と子分ロボットに悪役が命じると
♪Take my breath away♪
とベルリン(「トップガン」のテーマですよ)が流れるオフビートぶり。違うだろ、とマイケル・ジャクソンのBADになるあたりはまだ普通。以降もオリビア・ニュートン・ジョンやa-Haは時代色ってことで納得。しかしいきなりネーナの「ロックバルーンは99」にはたまげた。いまや誰もおぼえていない曲なのに!
まあね、レイナード・スキナードの「スイートホーム・アラバマ」は、田舎者の登場人物のBGMってことだし、今回の悪役は風船を使い放題だから……ってことなんだろうけど、それにしたって笑える。
頭のなかが80年代で止まっている悪役(声はなんと松山ケンイチ)の寝言が
「モリー・リングウォルド(お若いかたは絶対に知らない女優)とプロムに行かなきゃ」
とかます脱力系ギャグや、脱走するミニオンたちの騒ぎのなかで超然と便器にすわって新聞を読んでいる囚人、なんてオトナなユーモアもあって楽しい。
ただね、倍々ゲームで興収はのびているようだけど、肝心のストーリーが今回はいまひとつ……ああ、それでもおれはミニオンのために第4作も見ることになるんでしょう。