第30回「潰されざる者」はこちら。
前回の視聴率は11.3%と予想通り下降。ホビット村のティーカップの中の嵐に終始している以上、これは仕方のないことだと思います。
でもようやく、ようやくこの回からドラマが動き出した。今川に取り潰された井伊家を守るのは、常に今川側にいると思わせた小野但馬守政次で、井伊家の直虎や虎松(のちの井伊直政)を逃がし……な展開。
歴史上、悪辣だと思われた人物を復権させるのは大河ドラマの得意技。なにしろ第一作がそれこそ直政の子孫である井伊直弼を描いた「花の生涯」だし、他にも平将門の「風と雲と虹と」、そしておそらく今回お手本にした原田甲斐の「樅ノ木は残った」がある。伊達騒動を起こした悪役として有名な原田甲斐を、仙台藩を生き延びさせるために乱心のふりをした忠臣として描いたあの大河はよかったなあ。
今回は、高橋一生という希有な存在を得てなんとかしのいでいる印象。
「地獄には俺が行く」
というセリフに説得力を持たせるには、彼の能面のような表情が必要だったと。バックには菅野よう子さんがパット・メセニーっぽい曲を書いていて、これがなかなか聴かせる。
サブタイトルの「虎松の首」は、おそらくサム・ペキンパーの「ガルシアの首」をもじったんでしょう。毀誉褒貶の激しいこの映画は、製作当時のニュースでは原題のBring Me the Head of Alfredo Garciaが
「ガルシアの首を持ってきて」
と訳されていたのをおぼえています。ところがいざ見て見たら、ペキンパーらしく血は噴き出し、首にハエはたかり……な展開で
「ガルシアの首を持ってこい!」
だったことが判明。で、大好きでした(笑)
こういう展開を、あと二ヶ月前にもってきていたら……あ、それだと高橋一生の退場が早まるのか。あとは「銀魂」で激しく魅力的だったのに、どうもこのドラマではさえない柳楽優弥に託すのか。うーん。視聴率はでも11%はキープすると思いますよ。すげー目標が低いけど。
一週飛んで第33回「嫌われ政次の一生」につづく。