夜中に目が覚めてしまう。午前2時20分。そのまま考えごとをするとどんどん気持ちがブルーになるので、急いで本を読むことにする。ルーティン。
図書館への返却期限が来てしまい、一度返して書棚に司書が戻すのを待ってまた借りた本。「ジャパンタウン」。
結局、朝まで読み続けました。あまりに面白くて。内容をネットからひっぱると……
“サンフランシスコで古美術商と私立探偵を営むジム・ブローディのもとに、市警の友人から一本の電話が入る。ジャパンタウンというショッピングモールで日本人一家五人が惨殺される事件が起き、日本で生まれ育ち、日本の事情に詳しいブローディに助言を求めたのだ。現場には、謎の漢字一文字が記された血まみれの紙片が残されていた。その漢字は、四年前妻が住宅火災で亡くなった現場にあったものと同じだった。”
……鑑識の判断では、わずか7秒間で5人は殺されている。よほどのプロの仕事。周到で、捜査につながる痕跡はまったく残さない。そのかわりに、証拠にならないであろう薬莢は放置したままという自信。そして、残された漢字の意味とは。
どう紹介したものかと考え込む。だってね、ちょっとだけネタをばらすと、日本の片田舎(滋賀県の山沿い地方)に、殺人が地場産業になっている村が存在する……んなバカな、荒唐無稽にもほどがあると思うでしょ?
でもね、講談社インターナショナルで25年間働いていた経歴をもつバリー・ランセットの該博な日本の知識と筆力が読者を圧倒する。
だいたい、その殺人村の所在が滋賀県ってあたりも渋いし、主人公の探偵がその組織に目を付けられるのは阪神タイガースのキャップをかぶっていたからなのだ(笑)。
孫正義や児玉誉士夫のような人物も登場し、しかも探偵の捜査や事件としっかりとからむ。うまい。
この本がアメリカで出版されたのは2013年。シリーズ化もされているらしい。白浜朗さん、ここはひとつ気合いを入れてもうちょっと早く訳してもらわないと。訳しにくい作品であることは承知していますけれども。