事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「萩原健一 傷だらけの天才」 文藝別冊 河出書房新社 

2020-09-09 | 芸能ネタ

かつて自伝「ショーケン」を特集したときに、プロデューサー体質の人、と表現した。それはどうやら正解だったようで、彼の実質的なデビュー作「約束」においてはサード助監督(まあ、なんでもやらされる立場)として現場に参加していたのだ。スタッフ志向のほうが強かったらしい。

主演男優(中山仁だったとか)が降板し、急遽主演することになったが、しかしオファーした女優たちが次々に断ってくる。結果的に岸恵子が受け、映画は傑作となり、萩原健一は名優への道を歩き始める。岸恵子への尊敬は故なきことではなかったわけだ。

テンプターズ解散のあとに、沢田研二とのツインボーカルのスーパーグループ、PYGを結成。しかし彼らに用意されていたのは観客からの罵声だった件はかろうじておぼえている。あのバッシングは意味がわからなかったなあ。

数々の不祥事のあとに(伊勢谷友介よ、大麻ぐらいでつぶれるんじゃないぞ。先輩を見習え)、「傷だらけの天使」の映画化の話があったことは初めて知った。市川森一の脚本もあがっていたらしいがその話はつぶれてしまう。

製作寸前で水谷豊も出演を承諾していたという話もあり、およそ実現するはずもない企画だったと考える人もいる。水谷豊がどう考えていたか、きっと彼が明かすことはないんだろう。

自分のフォロワーだと考えていた松田優作に対しての屈託は相当のものだったようで

「おれの真似ばかりしやがって」

と怒っていたというエピソードも。そんな優作に「ブラックレイン」の佐藤役をとられたのだから彼としてもきつかったのだろうな。

みんなが絶賛するのは「いだてん」における高橋是清役。わたしも、彼の来し方が十分に反映された演技にしみじみ。これから、もっともっと味のある役者になってくれるはずだったのに……。にしても、ビギを着た彼のかっこよさったら!

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