黄金の月 - スガ シカオ(SUGA SHIKAO)
PART1「追悼小田嶋隆」はこちら。
「知り合いになる前だったので、『あ、(村上春樹という作家は)本当にいたんだ』と思ってね。今でもこれは神棚に飾っています」
早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)で行われたイベントにおける、村上春樹ファンであるスガシカオの発言。彼がメジャーデビューしたとき、取材に来た記者が村上春樹の担当であることを知ったスガシカオが、アルバムを村上に届けてほしいと懇願。そして返ってきたFAXが
「最近聴いた中で一番おもしろかったです」
そのFAXをスガは額装しているそうだ。そうなるよなあ。
これ、前にもお伝えしましたよね。開局したばかりのさくらんぼテレビが、CMが集まらないものだから独自のビデオをよく流していた。最上川の船頭さんをあつかったビデオのバックに流れていた曲が異様にすばらしい。で、当時つとめていた学校の校長の娘がSAY勤務。
「あの曲ってなんて曲だかわかんないですかね」
翌日、校長は「あのビデオ、うちの娘がつくってた」
そして渡されたメモにはこう書かれていた。
「スガシカオ」
曲はもちろん「黄金の月」。のちに彼の曲が出てきた村上春樹の作品は「アフターダーク」でした。
2022年7月号PART1「親密な人たち」につづく。