事務補助がネットをチェックしていて
「安倍さんが撃たれたんですって。心肺停止ですって。怖い……」
これまで、彼のことをさんざん批判してきたので、それなりに考えることはある。こんな政治的な事件が起こったとき、ネットはフェイクな話が吹き荒れるし、実際にこの午後だけでも話は二転三転した。だからきちんとした報道があってから語ろうとも思っていた。
でも、それもちょっと卑怯かなと思う。リアルタイムでどう思ったかを正直に語ろう。
困ったな、というのが第一印象。
なぜ“元首相”を狙うんだ。確かに、極右系のメディアでは彼は一種のアイコンになり得ていた。三度目を狙っていたことは確実。そんな彼が消え、清和会のトップが失われたことで国政は混乱するだろう。でも日曜日に行われる参院選はどうなるのか。
「投票率、上がるかもね」
と同僚と語り合うが、微妙なところだ。
元首相が悲劇のヒーローになることで、大平正芳が亡くなったときのように“弔い合戦”として盛り上がるか、あるいは政治そのものが忌避されるか。
いずれにしても、選挙活動をしているときに政治家はむき出しになる。そこをお手製の銃で撃たれるという事態は国家を揺るがす。二流国と判断されても仕方がないだろう。
警備への批判は仕方がない。しかし、こんな事態が起こるとは想像もしていなかったあたりは同情できる。
そして、つくづく思う。わたしたち日本国民は、一斉に殺人の現場を目撃したのだ。