日本の小説は、経済のことをあまり扱っていないかのような印象があるけれど、明治以来、作家たちは金のありがたみ、金欠のつらさ、借金の方法など、貧乏くさいながらも経済について語り続けてきた。それどころか、村上龍の作品は経済小説が裸足で逃げ出すような筆致で大きな経済を描いていたではないですか。
ベストセラーであるこの二冊は、人間は決して金から逃げられないのだし、だからむしろ追いかけていこうとポジティブなお話。
わたしだってこの低金利の時代に、ある程度の運用をやっていなければきつい状況なのは理解できる。だから彼女の小説が圧倒的な好評で迎え入れられている状況は自然なのだろう。
ただ、圧倒的にうまい小説家であることを認めながらも、わたしはこの人の作品には違和感が。それはなぜかといえば、わたしは山崎ナオコーラの方を熱烈に支持しているからだ。