第25回「天が望んだ男」はこちら。
そうなんだ、まだ頼朝死んでない(笑)。武家の頭領が落馬などということで死ぬことでがたついている。
元同僚とスーパーでいっしょになり(お互いが自分の好きな酒を求めている)、
「やせたね!」
「お前もな!」
「だいじょうぶなの?鈴の音が聞こえてない?」
どっちもこの大河を見ています。わたしの死期はまだまだ先……だと思う。
医者からあと数日と宣言される頼朝。その医者は北条義時と梶原景時によって口封じに殺されそうになる。義時はこなれています(と同時に自分への嫌悪も感じている)。
新聞の訃報欄をチェックする習慣はだいぶ前から。そんな業界人にはなりたくなかったけど、“あの人が死んだ”ということを知らずにいられなくもなっている。知ったからいいことなんかなんにもない。粛々と弔電や香典を用意するだけ。
「大泉洋は今日はずっとこのままなのかしら」と妻。死の床。
「だろうなあ」
と思ったら、静かで趣深い芝居を最後に。
三谷幸喜は彼に自分を投影したに違いありません。朝日新聞で自分の子への愛情を、読売新聞で前立腺がんの経験を語っている彼のことだし。
いやもちろん自分の経験を脚本にぶちこむことはない人だけど(彼が敬愛するビリー・ワイルダーはそんなことはしなかった。したかったようだけど)、死というものに、子への継承というものになにも感じていないはずはない。
それにしても小池栄子はどんだけ涙が流せるんですか。実はわたしも今回はちょっと涙が。観音はすべて捨てた、という頼朝の嘘が絶妙。絶妙の脚本。
第27回「鎌倉殿の十三人」につづく。