紀州 〔収録〕昭和56年12月22日 東邦生命ホール
第2回「兎と狼」はこちら。
家康が今川と織田のどちらをとるか(とられるか)というお話。桶狭間で今川義元(さすがにまた出てきてくれましたね野村萬斎)が討たれたとしても、その子である今川氏真(溝端淳平)がいる。家康は彼に希望を託すが……
そりゃ、わかりますよね。子どもの頃にうさぎあつかいされた鬼神よりも、ちょっと手加減するぐらいのお兄ちゃんの方が家康としてはついて行こうという気になるはずだ。
ちょうど今村翔吾の「蹴れ、彦五郎」という、今川氏真をめぐるお話を読んだところなので、いろいろと考える。
自分が愚物だとまわりも自身も認める人物。だけれどもサッカーの才能だけは誰にも負けない。誰もが自分をあざけっていることを知っているから、信長の前で見せる蹴鞠のスーパープレイ。
静岡県の人たちが彼をどう評価しているかはよくわからないけれども、今川家はだから存続することになった。静岡はサッカー王国となった。関係ないのかな。
海道一の弓取り(意味がよくわからないんだけど)という圧倒的な存在がいても、一敗しただけで勢力図は変わってしまう。織田家も豊臣家もそうだった。徳川家康がその姿を見て何も考えなかったはずはない。
「ええと、徳川家康という人は考えましたね。だから次に誰が継ぐのかをちゃーんと考えてた。」
落語の「紀州」は金原亭馬生の名調子。御三家を用意していた以上に、秀忠を信用していなかったんでしょうね。
第4回「清洲でどうする!」につづく。