クリント・イーストウッドが30年ぶりに馬に乗る!と評判になった渋い映画。
不仲の父と母の間で傷つき、路上で生きのびている少年を、メキシコからテキサスへ連れ戻す役目を引き受けさせられた老人がイーストウッド。彼は妻子を交通事故で失い、ロデオの栄光もはるか昔のものになっていた。果たして彼は人間としての尊厳を取り戻せるのか……
こう書くと派手なドンパチや愁嘆場が予想されるけれども、思いのほかあっさりと描かれる。ドラマ的にもっとひねりがあってしかるべきではないかと観客は期待するが、イーストウッドはそうしない。むしろ少年との日常を美しい画面に淡彩で描くことのほうが主眼のよう。ラストもあれでいいのか。
彼の映画を観るたびに、これが最後になるのではないかと恐れながら見るわけだが、映画作りの達人である彼の作品を味わうことができる幸運を喜ぶほうが正解なんだろうか。沁みる映画でした。
ちなみに、マッチョというのはわたしの苦手なニワトリの名前です。