事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ともぐい」河崎秋子著 新潮社

2024-01-23 | 本と雑誌

明治後期の北海道。狩猟によって生きている熊爪という男が、すでに人を屠っている熊と激突する。そしてタイトルが「ともぐい」

……となれば、獣のように生きる男と、神性すらおびる熊の、共食いの話だと誰だって思う。いや実際に熊と男の駆け引き、殺し合いは息詰まる圧倒的な描写の連続で、そこだけでもみごとな小説だと思う。でも、後半は思いもよらない展開を見せる。

「釧路の近くに、白糠ってとこはある?」

妻は釧路から酒田に来たのだ。

「あるわよ。お姉ちゃんの初任地がその近く」

高校教師だった義姉がそこにいたのか。

「不便なところでねえ」

熊爪が住むのは、その白糠からも離れた山中。

日露戦争直前のその地域は、次第に産業構造が変化しているのだが、それに気づかずにいる人物も登場し、味わい深い。そして、盲目の女性が現れ……

誰もが驚くラストだと思う。共食いの果てに、最後に生き残る存在がすばらしい。直木賞は当然だったでしょう。

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「シティヒート」City Heat(1984 WB)

2024-01-23 | 洋画

クリント・イーストウッドバート・レイノルズが主演。当時、この二人はマネーメイクのトップを争っていたので、文字通り夢の競演だったのである。にしてはけっこうゆるいつくりなのだけれど、イーストウッドとレイノルズが刑事と元刑事をやってくれているだけでありがた感はあります。

当時の批評で、印象とは反対にイーストウッドは子どもっぽく、レイノルズは渋好みではないかというのがあって(それぞれが主演して監督した「ガントレット」と「シャーキーズ・マシーン」を比較すればいいと思う)なるほどと思わされた。

この映画でもすぐにブチ切れてしまうイーストウッドと、女性にクールなレイノルズの組み合わせがいい感じだ。

今年最初に観たDVDがこれでした。お正月にぴったり。

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