事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「八つ墓村」がわからないPART4

2012-05-23 | 映画

PART3はこちら

Shokenimg01 父親の虐待と母の夭逝など、身の不幸を嘆いてばかりいる気弱な主人公、寺田辰弥になんと萩原健一(東宝版は高橋和也)。これは意表をついたなあ。

ここでおさらいしておくと、原作と東宝版は終戦直後のできごとに設定されている→そのために大量殺人事件の時期も前倒しされている。

ところが松竹版は、舞台をいきなり現代にもってきた。そのためのショーケンの起用だろうし、職業を航空機の誘導員という、画的にど派手なものにしたのだろう。後半の鍾乳洞の暗さと、空港のまばゆさの対比は確かに効いている。

事件の発端は、新聞の尋ね人欄(現代、といっても昭和ですから)に辰弥が載ったこと。いぶかしむ辰弥は、上司のすすめもあって大阪の弁護士事務所を訪ねる。待っていたのは弁護士の諏訪(大滝秀治)と老人(加藤嘉)。身元について質問を重ねた諏訪は最後に

「裸になっていただけますか?」

と、とんでもないことを。気弱な辰弥(ショーケンだからとてもそうは見えないのだが)は渋々応じる。彼の身体には虐待された傷が大量に残っていたのだ。それまで無言をとおしていた老人がうめく。ここ、配役もあってほとんど「砂の器」そのまんまです(笑)。

彼は辰弥の母親の父、つまり祖父にあたる井川丑松だった。

「た、辰弥……」

ようやく孫を見つけた丑松は、しかし次の瞬間、血を吐いて昏倒する。

最初の殺人。

犯人が用いた方法は、丑松が常用している薬のなかに、毒がはいっているものを混入させるというものだった。つまり、どの時点で彼が死んでもかまわない殺人なのだが、辰弥と再会した場面だったことで、後の八つ墓村における辰弥の行動が制限される結果となる。

村人は丑松を辰弥が殺したに違いないと思いこんだのだ。以下次号

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ショーケンて格好いいです。子供時代の吉岡秀隆君... (雨止み)
2013-09-26 17:41:44
ショーケンて格好いいです。子供時代の吉岡秀隆君どうやったらこの人みたく容姿の青年になれたのでしょうか…(笑)。土の匂いを感じる日本の風景もねっとり描かれてましたね。当時香港でも公開されたそうですが観客がどんな感想を抱いたのか知ってみたいです。
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あ、吉岡秀隆だったのかあの少年(笑) (hori109)
2013-09-26 23:31:41
あ、吉岡秀隆だったのかあの少年(笑)
忘れてました。
八つ墓村を初めて訪れるショーケンと小川真由美の
シーンが、あまりに陽光にあふれているのは、
迫り来る災厄をむしろ予見させてすばらしかったですね確かに。
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