事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説」辻真先著 創元推理文庫

2021-05-10 | ミステリ

「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」で去年のミステリランキングのトップを総取りした辻真先さんのシリーズ前作。あの作品のトリックはとんでもなかったが、今回もなかなかです。

「たかが~」は戦後の混乱期における日本人の右往左往が基調音だったが、こちらは昭和12年という時代の指定が示すように、戦争に突き進む日本において、息苦しさを感じていた人間たちの苦衷が背景にある。

また、昭和12年(1937年)と現在との差は、時間を逆方向にふれば江戸時代のほうが近い(明治維新は1868年)。まだ名古屋が尾張だった匂いが色濃く残っているのが味わい深い。次作と共通する登場人物は2人。名探偵に“仕立てられてしまう”主人公と、もう一人はお楽しみに。

次作「馬鹿げてる!昭和36年のミステリ」(仮題)が今から楽しみです。


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