スターウォーズ篇はこちら。
これほどトラブルに見まわれ、そして芸能マスコミによってリアルタイムでそのトラブルを報じられた作品もめずらしい。
最大のトラブルはもちろん主役交代劇。勝新太郎が主役の武田信玄、および彼の影武者にキャスティングされ、期待が高まった。黒澤明&勝新太郎というカップリングはいかにも魅力的だった。
しかし自らも奔放な映像作家である勝は、自分の演技をチェックするために現場にビデオカメラを持ちこみ、黒澤はそれを拒絶し……結果として仲代達矢が主役に。もちろんそれはそれで素晴らしい作品にはなった。カンヌのパルムドールを獲得したし、萩原健一、根津甚八、桃井かおりなど、クロサワらしくないキャストも(あまり成功しているとは言い難かったが)新鮮だった。この作品で織田信長を演じたのは先日亡くなった隆大介でした。
三船敏郎には上杉謙信役という話があったようだ。しかし徹底してオーディションによるキャスティングにこだわった黒澤は、たとえば徳川家康にど素人の油井昌由樹を起用するなど“自らの作品にすべての時間を消費する”俳優を求めていた。そのためか、この作品にミフネの名は残念ながら無く、演じたのは清水利比古という、誰?な人だったのである。
この映画は大ヒットしたが、例によって製作費が集まらずに黒澤は苦労していた。そこに登場したのがジョージ・ルーカスとフランシス・コッポラ。スターウォーズとゴッドファーザーの監督が製作者に名を連ねることでようやく撮影にこぎつけた経緯がある。そこに三船の威光は影響しなかっただろうか。
あーそれにしても見たかったな勝新太郎の影武者。
最終回につづく。
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