「日本沈没」韓国版。ちょっと「幸福の黄色いハンカチ」と「海猿」も入ってる。乱暴なくくりだけれど、そう形容してまちがいはないです。
強引な論理、絶叫する役者たち、お涙ちょうだいが連続するストーリー……ではつまらなかったのかといえばそんなことはなくて、なにしろ東日本大震災を経過した今だからこそ津波の恐怖は他人事ではない。対馬が韓国にとって本当に身近な存在なんだなということも理解できます。
いちおう言っときますけど竹島は出てきませんからね。よけいなことですが。
「日本沈没」韓国版。ちょっと「幸福の黄色いハンカチ」と「海猿」も入ってる。乱暴なくくりだけれど、そう形容してまちがいはないです。
強引な論理、絶叫する役者たち、お涙ちょうだいが連続するストーリー……ではつまらなかったのかといえばそんなことはなくて、なにしろ東日本大震災を経過した今だからこそ津波の恐怖は他人事ではない。対馬が韓国にとって本当に身近な存在なんだなということも理解できます。
いちおう言っときますけど竹島は出てきませんからね。よけいなことですが。
森光子の死は悲しい。彼女こそ日本の芸能史を象徴していたのだし、彼女しか語れないことがたくさんあったはずなのに、もうリアルにその声を聞くことができない。
冷たい言い方になるけれど、各紙、各誌の“予定稿”の出来がためされるいい機会だ。おそらくは、というよりもう「放浪記」「時間ですよ」関係の決まり切った報道がなされているようだけれど、そこからどれだけ芸能への言及がなされるかでレベルが測られることになるだろう。
まさかジャニーズとかでんぐり返りでしか語らないメディアはないだろうけれど……ないだろうと思います。油断できないか。
わたしは東芝日曜劇場で
「こんちわーパンツ屋ですー」
と声をはりあげていたのが忘れられない。なんてタイトルだっけな……こんなときはネットよね。
そうだっ。「天国の父ちゃんこんにちは」だ。これ実話だったのかあ。
このドラマに代表されるように、彼女の一種のあざとさは日本の芸能界を文字どおり代表していた。あざといことに衒いのない人だった。良くも悪しくも。あとは倉本聰の「2丁目3番地」で、微妙な脇を演じていたのが印象に残っている。
偶然けさ読んでいた本にこうある。
「あたしはね、三益愛子にはがんばればなれるかもしれない。でも山田五十鈴には絶対になれない」
頭のいい人だったのだと思う。実はシニカルに芸能界を俯瞰していたのが垣間見えもしたのだった。ミヤコ蝶々のダークさとはちょっと違う、業界人との距離のとり方は彼女ならではだったのではないか。だからこそ、妙にべたついた哀悼のコメントは彼女には似合わない。でも言いそうだなあ和田アキ子とか美川憲一とか。
本当にコメントをきいてみたい久世光彦や杉村春子にはもうすでに天国であいさつしているだろうしなあ。
「こんちわ。がんばって芸能人をやってきましたよ」と。
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YouTube: ビリー・バンバン/目覚めた時には晴れていた
前巻までの特集はこちら。
おそらく近藤重蔵と最上徳内の蝦夷地行の資料が面白すぎて、そちらをもっともっと描きたいのに、逢坂さんは作家としての性で
「はっ、物語を書いてない!」
と強引に熊や悪女とのバトルにもっていっているみたい。いいのにもっと歴史小説で(笑)。
重蔵の癖の強い性格も資料どおりなのかな。だとすると壮年の重蔵、晩年の重蔵を描いてくれるとうれしいけどな。そうなると単なる偏屈じじい物語になっちゃうんだろうか。高田屋嘉兵衛、遠山金四郎(お父さんの方)もさりげなく登場し、ますます面白くなっている。
領土問題が非常に微妙な時期なので、露西亜人やネイティブとの関係性など、ほんと読ませるわあ。最上徳内がアイヌと“同じものを食べ”“同じ言葉をしゃべる”ことの重みは参考になる。山形県人として、うれしいです。単なるスパイじゃなかったのね。徳内まつり、行こうかな。
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逆浪果つるところ 重蔵始末(七)蝦夷篇 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2012-09-20 |
「ドラゴン・タトゥーの女」が、きわめて不道徳な背景をもった本格ミステリだとすれば、「火と戯れる女」はもっと不道徳な展開。どうなってるの北欧
。
リスベット・サランデルを物語の支柱にもってこようとは、ラーソンは最初考えていなかったのだと思う。スウェーデンの、ひいては世界の不正に小説で立ち向かおうとした(本気だったはず)ラーソンにとって、彼女は予想以上に魅力的なヒロインで、アンチ・フェミニズム批判をくり広げるうえでも最適の存在だったわけだ。
三作目「眠れる女と狂卓の騎士」は意外なほどにまっとうな裁判小説になっていて、幕引き(4作目の構想もあったようだけれど)としておみごと。つまりこの作家は、次第にうまくなっていたのだ。夭逝がつくづくと惜しまれる。
原作のファンは映画化においてはスウェーデン版を推奨しているようだけれど、わたしははっきりとハリウッド版のリスベットとカッレくんをイメージしていました。ダニエル・クレイグが、冷蔵庫の上の牛乳をとるシーンだけでも見る価値ありだしね(笑)。
それにしても全6冊を二週間こればっかし読んでました。不道徳な日々……
ほとんどラスベガスから出ないお話なのに、みごとなロードムービーになっている。
「真夜中のカーボーイ」「ミッドナイトラン」「大災難PTA」などの傑作は、その旅を終えたときに、登場人物たちが成長しているあたりがすばらしいんだけど(でもたまに死んだりするので注意)、その条件を、とんでもない連中のとんでもないバカ騒ぎを描いたこの作品はきっちりクリアしている。
お話はしごく簡単。結婚前に独身男四人がベガスで遊びまくろうと出発。バチュラーパーティですわね。ホテルは実在のシーザーズパレス(フロントに向かって「ここにカエサルは来た?」と質問するギャグあり)。
ところが翌朝起きてみると部屋にはニワトリや虎、そして赤ん坊がいて、なにより二日後に結婚する男が行方不明になっている。おれたちは何をしたんだ?どうしておれたちはみんな昨夜の記憶がないんだ!
……というわけで右往左往。演じているのはブラッドレイ・クーパーだけが有名で、あとは地味な男たち。クーパーにしても撮影当時はさほどメジャーではなかったので、実はほとんど金がかかっていない映画なのである。それなのに、製作費の十倍近い大ヒット。ワーナーの高笑いが聞こえるようだ。
でもね、確かにアメリカではヒットしたけれども、日本では未公開に終わりそうになるくらい注目されなかった。その理由は、底流にある結婚観の相違ではないか。
アメリカ人はとにかくファミリーを重視する。個人と個人が決して相容れないことを知っているからこそ、その個人が人種、宗教、所得によって微細に区分けされている国だからこそ、家族は絶対のものとされている。
でも、それってちょっと違うんじゃないか?という三十代の男たちのモラトリアムぶりが共感を呼んだのかもしれない。少なくともわたしはそのあたりが気に入った。
まあそれ以前に、フィル・コリンズのIn The Air Tonight が流れ、「ここ!ここのドラムがいいんだよっ!」と例のパートに熱狂するのがマイク・タイソン(本人!)という狂いっぷりにまず感服したんですけどね(笑)。あのドラムには確かにおれも泣いた。
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YouTube: Phil Collins - In The Air Tonight (Official Video)
一種のブームになった「のぼうの城」よりもわたしはこちらが好きかな。
忍者という存在が、技術を売るだけでひたすらアンモラル。その絶望感を共有する3人の忍びがとても魅力的。なかでも、かっさらってきた武家の娘に、どうしても頭があがらない「無門」という主人公がすばらしい。彼もまた、のぼうなのね。
無門がなぜ彼女に屈服し続けているかの理由が泣かせる。映画「のぼうの城」がヒットしたのだから、こちらの映画化もお願いします。主役は、そうだな……福山雅治はどうでしょう。
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忍びの国 (新潮文庫) 価格:¥ 580(税込) 発売日:2011-02-26 |
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YouTube: ばかっこいい2012 (酒田光陵 創設祭)
2011年バージョンはこちら。
今年は新規採用者もいることですし、学校事務職員にも若手がふえてきたので、本気をだして年末調整を考えてみましょう。といってもこむずかしい理屈をかますと誰も読んでくれそうもないので(わたしもボロが出そうだし)シンプルにいきます。
年末調整とはつまり「年末」に「調整」するわけだけれど、いったい何を?
答はもちろん税金。わたしたちの給料からは、毎月毎月税金が差し引かれていますが(源泉徴収)、その額は、まあこれくらいの金をもらっていて、扶養の人数がこれくらいの人はだいたいこのくらい引いとくかな、という感じでわりとアバウトに決定されています。
そこで、最後の給料が支給される年末に、その人の一年の収入が確定するわけだから、見合った税金の額(年税額)に調整してしまおうというわけ。
これはまことに便利なシステムで、本来はみんなが確定申告をすべきところを会社(わたしたちの場合は山形県)に代行させているのです。おかげで日本のサラリーマンは誰も税金のことをまじめに考えない(消費税をのぞく)。
“調整”だから12月に税金が返ってくることもあれば、むしろ多く徴収されることもある。でも、たいがいの人は返ってきます(還付)。それはなぜかというと、
・生命保険や損害保険をかけている人
・ある条件をみたした時期に、条件をみたした家を建てるために借金した人
などは税金がお安くなるから。なぜかといえば、それは要するに国策。税金をお安くするかわりに、保険をかけたり借金をしろと誘導しているのです。
国の福祉が不十分だから自分で保険負担をしなさい、景気が悪くて仕方がないから借金をしてでも家を建てなさい……みもふたもない言い方をすればそういうこと。さあ、それではがんばって国から税金を取り戻すために“調整”しましょう。
例によってみなさんにやってもらうのは
◆去年記入した平成24年分扶養控除申告書の内容をチェックする。
◆平成24年分保険料控除申告書を記入する(証明書を忘れずに)。
◆住宅ローンがある人は、住宅借入金控除申告書を記入する。
◆平成25年分扶養控除申告書を記入する。
などですが、いちばんめんどくさい保険料控除申告がちょっと今年は変わっています。
というのも、生命保険料控除の「一般の生命保険料」「個人年金保険料」にくわえて「介護医療保険料」が新設されたのです。さっきの考え方でいえば、介護について自分で用意しておきなさいよと国が誘導しているのでしょう。
それだけでなく、「一般の生命保険料」と「個人年金保険料」についても、平成24年1月1日以降に契約したか、前に契約したかで「新」と「旧」に分かれ……ああめんどくさい。
しかしよーく証明書をみてください。ちゃんと分類が書いてあるはずです。だって、保険会社にとって税金の控除になるというのは大きなセールスポイント。どれだけ懇切丁寧に記載しても罰は当たりません。こりゃわかんねーと思ったら迷わず事務室へ。○島の場合はすぐに電話を!
11月26日(月)まで、事務室にお願いします。
今日は、酒田光陵高校の文化祭で披露された「ばかっこいい」動画を紹介しましょう。校内の人気投票でダントツの1位だったとか。確かに、ばかっこいい。どや顔を必死で我慢しているのが笑えます。期せずして新設校の校内案内になっているあたりもいい。
2013年年末調整号につづく。
ブームになった原作は、キャッチフレーズの
「この男の奇策、とんでもないっ!」
に反して、意外にストレートな小説だったし、スカッとしたエンディングを迎えるわけでもない。ブームを仕掛けた誰かさんがうまかったのだろう。史実をもとにした作品である以上、それは仕方のないことだ。
むしろこの映画で描かれた攻防戦ののちに、主人公の成田長親がどう生きたか、どう出処進退したかの評価こそ、ほんとうのでくのぼうか天才かの分かれ目だろうと思う。
そんな微妙な人物を描くにおいて、野村萬斎ほどの適役は考えられず、というか彼の出演の内諾があったために映画化が現実のものになったという話はとても納得できる。田楽舞がどうのという前に、作品自体が成り立たないだろう。
思えば野村萬斎は、「あぐり」のエイスケさんにしても「陰陽師」にしても、邪悪な表情と善なる行動(疑問もあるけど)のギャップに魅力があった。こんな謎めいた役者は他にいないので、本業も忙しいだろうけれどももっと映画に出てほしいなあ。なにしろ彼が出ているときと出ていないときでは画面の温度が違いますもん。
他には、まさかの鈴木保奈美が年齢を重ねてむしろ魅力を増すタイプだったのはうれしい。山田孝之は、いくさを知っているだけに長親のありように驚く評論家体質の武将(笑)を演じてさすが。
ところが、どうも他のキャストがふるわない。いつものように絶叫芝居で場を白けさせる中尾明慶はわたしだけが苦手なのか?
成宮寛貴と平岳大という、萬斎と同じようなアヒルグチの男優をそろえたのは何か意味があったのか(外国人は絶対に区別つかないと思う)。
お姫様役の榮倉奈々は完全にミスキャストで、もっときつい顔の女優を選ぶべきだった。あ、だから隣にいる鈴木保奈美が輝いて見えたのかしら。映画もすっきりしない出来だったのはキャスティングのせい?
水攻めのシーンのために、一年間公開延期になっても(金利だけでもたいへんだったろう)大ヒットしているようなのはめでたい。わたしですら、去年あれを見せられたらちょっとしんどかったろうと思う。延期はやむなしだったかな。
亭主が料理し、女房が接客。よくある居酒屋の、よくある仲のいい夫婦。ところが、火事で店を失い、自暴自棄になった亭主はなじみの客(愛人から手切れ金を受け取ったばかり)と一夜をともにし、その手切れ金を店の再建資金にと贈られる。夫の不貞に気づいた妻は、しかしそのことで結婚詐欺によって金を稼ぐことを思いつく……
夫に阿部サダヲ、妻は松たか子。なじみ客に愛人顔&愛人体型の鈴木砂羽。ほかにも、元警官なのに背中にモンモンがはいっている探偵が笑福亭鶴瓶だったりするので、喜劇としても十分に成立する設定だ。火事がなかったら阿部サダヲは「なくもんか」そのまんまだとすら。だけれども、監督は「ゆれる」の西川美和だからそうはならない。「ディア・ドクター」のような救いもあまりない。でも、見終わって温かさが胸に残るのはなぜだろう。
詐欺にひっかかる女性たちに、わたしの家の前でテレビのロケをしたことで有名な(笑)田中麗奈、男に病的に貢いでしまう風俗嬢に安藤玉恵(すんごい好演)、シングルマザーの公務員に木村多江(似合いすぎ)。いちばん凄いのは、巨漢であるコンプレックスを払しょくできないウェイトリフティング選手役を演じた江原由夏。いるんだなあこんな女優が。
結婚詐欺は、露見しても被害者が恥ずかしくて警察に通報しにくいという意味でも卑劣な犯罪だ。そんな悪行をつづけることの罪深さに夫婦は気づかない。
いや気づいてはいるんだけれども(テレビで鬼母のニュースに驚くシーンが挿入される)、お互いがそのことを言い出せずにいる。
夫は、妻の心の底にあるのが『腹いせ』であることを感じているし、それを指摘された妻は激昂する。次第に夫婦の関係は壊れて、というより関係が壊れないままにふたりとも立ち腐れていく。
もっとも、食パンをやけ食いするあたりの演出は笑わせてくれます。ダブルソフトじゃなかったですけど、松とヤマザキとの契約はもう切れてますか。
およそ感情移入できない夫婦でありながら、しかしラストにいたって応援したくなるのは、このふたりがそれでも“普通”だからだ。あなたであり、わたしだからだ。
そのために西川監督は松たか子に、過剰なほどのリアルを求める。マスターベーションであえぎ、生理のためにナプキンを使い(わたし、初めて使い方を拝見しました)、お尻を露出する。生活者の側面を押し出したわけね。
わたしは特に、“言い返す”ときの彼女の三白眼に文字どおり恐怖しました。松たか子おそるべし。西川美和おそるべし。そしてどうやら、女性おそるべし。