事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「沈黙-サイレンス-」Silence (2016 パラマウント)

2024-10-12 | 洋画

遠藤周作の原作をマーティン・スコセッシが映画化。いつもながらキャストが豪華。リーアム・ニーソンアンドリュー・ガーフィールドアダム・ドライバー

日本側からは窪塚洋介浅野忠信塚本晋也加瀬亮、そしてイッセー尾形

長崎奉行を演じたイッセー尾形のチカラの抜けっぷりがいい。江戸初期、布教のために日本を訪れたふたりの若い神父。彼らが九州で見たものは、キリスト教徒への幕府による圧制だった。神父たちの師匠(ニーソン)は、神の沈黙に耐え切れず棄教している。はたして神はキリシタンたちに何をもたらすのか(もたらさないのか)。

非常に重いテーマなので敬遠していたが、圧倒的な画面の力に驚く。キャストのなかで、窪塚洋介のパートが意外なほど大きかった。見る人が見れば、彼がどんな人生を歩んできたかがきちんとうかがえたのだろう。わたしは圧倒されっぱなしでした。

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日本の警察 その147「こちら空港警察」中山七里著 KADOKAWA

2024-10-12 | 日本の警察

その146「警視庁いきもの係」はこちら

警察小説であり、お仕事小説でもある。国際空港における捜査の特殊性が読ませます。前に「あぽやん」でグラウンドスタッフの仕事がいかに多岐にわたるかが理解できたけれど、この作品における、乗客の態度の悪さはすごい(笑)。カスハラの嵐。

中山七里おなじみのどんでん返しが用意されていますが、これは納得できるものでした。ハイジャックがメインのお話と思わせて……

その148「絶対零度」はこちら

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明細書を見ろ!2024年10月児童手当号 偶数月

2024-10-10 | 明細書を見ろ!(事務だより)

児童手当6月号はこちら

事務だよりの9月号で、児童手当の改正についてお伝えしました。おさらいしましょう。

・所得制限を撤廃する。

・支給対象児童の年齢を“高校生世代”(18歳到達後の年度末まで)までに延長する。

・第3子以降の手当額を月3万円にする。

・(支給対象ではなく)子が何人いるかを算定する範囲を、これまでの高校生世代から大学生世代(22歳到達後の年度末まで)に延長する。

・支給月を2ヶ月ごとの偶数月とする。

……この改正がいつからかというと、今月からだということもお知らせしています。

「ってことは今月の児童手当は今までより多いのかっ!」

と誰だって思います。しかし残念でした。その月に支給されるのは、その前の4ヶ月分なのです。だから今月は6月~9月の分が支給される理屈。

ということで、改正が反映されるのは次の偶数月である12月支給分(10月と11月分)からになります。ということであなたへの今日の支給額は0,000円です。

KINGDOM 大将軍の帰還」(2024 東宝)

先月、ラストマイルを絶賛したら、けっこううちの職員もすでに見ていた。でもひとりだけ

「確かにラストマイルはよかったわよ。でもね、KINGDOMはもっとよ!」

と主張する人もいた。この人はキングダムのファンだからなあ。確かに面白かった。

「今回ので原作の半分くらいはいったの?」と質問。

「なに言ってんの。まだエピソード1ぐらいよ!」

うわ。完結までおれは生きていられるだろうか。

 

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「ヘルドッグス」(2022 東映=SONY)

2024-10-09 | 邦画

確か「インファナル・アフェア」のときも言ったと思うんだけれど、わたしは潜入捜査ものが苦手。なりすます、という行為がどうにもこうにも。うちの娘もそんなことを言っていたので、血というものは争えないものなのでした。

地元作家深町秋生原作のこの映画も(原作とはちょっと変えてあるらしいのだが)アンダーカバーもの。だからちょっと見るのをためらっていたのだが、脚本と監督があの原田眞人なのである。

そして、予想以上にめちゃめちゃに面白いのでした。原田眞人のことだからセリフが気が利いているのはもちろんだけど、役者たちの動きに、微妙なツイストが加えられていてうれしくなる。

岡田准一のアクションがすばらしいのは当然としても、坂口健太郎のキレっぷりや松岡茉優の悪女ぶりもすばらしい。「検察側の罪人」で一気にメジャーになった酒匂芳など、すでに風格すら。

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「奏鳴曲 北里と鴎外」海堂尊著 文藝春秋

2024-10-08 | 本と雑誌

新1万円札の北里柴三郎のことを知りたくて読む(リリー・フランキーが今度のお札の人はムーンライダーズの鈴木慶一さんでしょ?と言ったのにはめちゃめちゃに笑った。確かに似てる!)

この二人は反発し合っていたり、理解し合っていたり。有名な対立点は脚気をどう解釈するか。

食事を白米から麦に変えたら激減したことから、北里柴三郎は栄養の問題だと考えるが、森鴎外はウィルス説に拘泥する。もちろん正解はビタミン不足が原因なのだが、妙に意地を張る鴎外が可笑しい。

ふたりとも歴史に名を残しているが、ふたりともけっこうな挫折を繰り返している。舞姫ひとつとっても、人間としてダメじゃん鴎外、と思うけれども、現地妻を日本に呼び寄せようとしただけでも他の留学生よりまだましだったわけだ。認識を改めよう。

にしても、医師としての共通点がありながら、なぜ海堂尊が歴史小説を?

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光る君へ 第38回「まぶしき闇」

2024-10-07 | 大河ドラマ

第37回「波紋」はこちら

紫式部、清少納言、和泉式部そろい踏みの回。まひろ(吉高由里子)とききょう(ファースト・サマーウィカ)は、それぞれの作品によって代理戦争のような状況になっている。天皇、中宮の寵愛を作品によって得る形。

「私は腹を立てておりますのよ、まひろ様に。源氏の物語を、恨んでおりますの」

はっきりしています。ふたりの対立があからさまになる。

架空のお話とはいえ、大河ドラマはそれなりに影響力があるので、歴史上の人物のイメージがドラマによって形成されるのは無理ない。

たとえば織田信長をどうイメージするだろうか。年配の方なら「太閤記」の高橋幸治や「徳川家康」の役所広司かもしれない。ひねったところでは「麒麟がくる」の染谷将太、そして去年の岡田准一の怪演が思い出される。多彩な役者がそれぞれに力演したので、大枠としての信長像は多種多様だ。

しかし紫式部と清少納言は、これまで描かれてこなかったので、吉高由里子とファースト・サマーウィカのイメージで焼き付けられることになる。

それと、この大河はわざとなのだろうけれど、源氏物語をまったく映像化していない。これまで何度となく描かれてきた光源氏その人を描かないのだ。もちろんここで超美男である光源氏を登場させたら、実在の人物(藤原道長とか一条天皇とか)が投影されていることと矛盾してしまうということなのだろうか。

さて、ここしばらくは悪役を一手に引き受けていた藤原伊周(三浦翔平)の退場。ドラマも終盤にさしかかったので、これからこのパターンがつづくことになるだろう。

第39回「とだえぬ絆」につづく

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今月の訃報2024年9月号PART8 山藤章二

2024-10-06 | ニュース

PART7 茶木則雄篇はこちら

こちらは社会面にデカデカと載っていたので否応なしに気づく。似顔絵のシャープさは比類がなかった(だから政治家イラストに山藤を起用した朝日新聞が他紙をその意味では圧倒した)。ギャグの切れ味も鋭くて、特にわたしが好きだったのは筒井康隆と組んだ「狂気の沙汰も金次第」です。

ああそれにしても2024年9月は、同世代が次々に亡くなった1ヶ月だ。さみしい。

西田敏行篇につづく

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今月の名言2024年9月号PART2 米

2024-10-05 | ニュース

Ryuichi Sakamoto (坂本龍一) - G.T.

2024年9月号PART「解散」はこちら

「国はいまだに増産の方向にかじを切りません。日本米は海外でも人気です。量を作っても輸出すれば良いのではないでしょうか。困っている国に援助したら国際貢献にもなります。食料自給率が38%では、有事があり、輸入できなくなった時、どうするのでしょう。
 また、収入がなければ後継者はいません。産業は廃れていきます。しかもそれは人間に欠かせない食料の問題です。食料自給率を上げ有事に備えるためにも、所得補償など生産者を守る施策が絶対に必要です。農業・食料は国防だと思います。」

農林業と食糧・健康を守る埼玉連絡会(埼玉食健連)の事務局次長である松本慎一さんの主張。

まことに正論だと思う。そうあらねばならないのは理解できる。しかし日本の農政は50年も減反をやってきて、農家もそれに慣れきっている。

そして、農家の70%が65才以上なのだ。攻めの農業に転じることができるかは微妙。どうも近所の連中の話によれば、今年の作況もかなり悪いらしい。来年もこの騒ぎになる可能性はおおいにある。ただひとつ、確実なのは“日本の米はうまい”ということ。これだけは救いだ。

本日の1曲はFMで坂本美雨の「ディア・フレンズ」に小泉今日子がゲストで出て、山形公演がフィナーレだと聞いた途端に

「行こうか!」

と考える。南陽が会場。ああダメだ。もう長距離運転がしんどくなってる。でも小泉今日子だよ!

ってことで今回は坂本のお父さんの曲で。

「ルールを守る」につづく

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今月の訃報2024年9月PART7 茶木則雄 67歳没

2024-10-05 | ニュース

唐沢俊一篇はこちら

新聞の訃報欄を読んでいて「えっ」と声を出してしまった。なんてことだ。

「本の雑誌」の連載や、「このミステリーがすごい!」の立ち上げなど、日本のミステリ界にとってとても大事な書評家だったのに。

このミス恒例の覆面座談会では、全員匿名なのにどうしても茶木さんだけがまるわかりだったのがおかしかったなあ。

山藤章二篇につづく

 

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今月の訃報2024年9月PART6 唐沢俊一 66歳没

2024-10-04 | ニュース

「トリビアの泉」ベルリンの壁は勘違いで崩壊した

福田和也篇はこちら

あの「トリビアの泉」は唐沢の著作がスタートとなった企画。雑学が雑学であるがゆえに貴いというコンセプトはすばらしかった。なかなか「へぇボタン」を押さないタモリがおかしかったし、司会の高橋克実と八嶋智人のコンビもよかった。

だから当時、わたしは唐沢のホームページを何度も訪れていたし、弟の漫画家である唐沢なをきとの共著を買ったりもしていました。

ところが、彼の文章に多くの盗作、というか無断引用があると糾弾されたあたりから暗雲は立ちこめる。妻とは別れ、弟とは絶縁状態だったとか。晩年の彼を、知らずにいてよかったかもしれない。

茶木則雄篇につづく

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