娘が言いました。
「お母さん、太平洋戦争時の、海軍の人間魚雷「回天」のこと知ってた」
戦後生まれの私ですが、「回天」のことは知っていました。
娘(30代前半)は、神風特攻隊のことは、知っていても、「回天」のことは、この本を読むまで知らなかったそうです。
人がやっと一人乗るスペース、脱出口はなく、爆弾と一体となって潜水、操縦し、敵艦に体当たりする、海の特攻です。
横山秀夫さんの「出口のない海」は、「回天」にまつわるお話です。
主人公が恋人に宛てた手紙に涙が出ます。最後の部分をご紹介します。
「幸せになってほしい。
幸せになると約束してほしい。
君には、生きて、生きて、もう嫌だというまで生きてほしい。
幸せに、どうか幸せに」
若くして特攻で死なねばならなかった若者たちは、皆、愛する家族、恋人、友人に対して、こういう思いで亡くなって逝かれたのだと思います。
たった70年前の厳しい現実です。
生きたくても生きられなかった方々によって、今「しあわせを願われている」私たちです。
その思いを受けたら、毎日をおろそかには、生きられません。
、