散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

東京出張(7) 最後はやはりバー

2014年06月17日 20時31分53秒 | 飲み歩き・東京
さあ、時間も残りわずか。昨日は臨時休業だった「FS」に行ってみるかと思ったものの、エレベータを降りると花輪が飾ってあり、店内は開店10分にして満席の模様。そう、この店のバーテンダーY氏がおとといの大会で全日本初制覇をしたのである。さすがにこれは入店は無理かと、めったに来ない非常連の私は諦めることにした。

しかし、もう一杯飲みたいところである。ここからとなると、有楽町に移動し、ウイスキーの充実したバー「CL」へ。店に入るとバーテンダー氏が「おや、お久しぶりですね」と来た。数年に1度しか来ない私なのだが、なぜか顔を覚えられているのである。割と出張で東京には来ているのだが、店にはなかなか来ないので、恐縮の限りである。



最初から「今日は2杯、予算は4000円、好みのウイスキーはカリラ」ということで、組み立てを考えてもらった。その1杯目はタリスカー175周年記念ボトルである。タリスカーといえば、それほど癖はないが質実剛健というイメージを持っていたのだが、これは甘みも程よくあって、ちょっと上級の味がする。



2杯目は「カリラがお好きでしたら」ということで、カリラ25年カスクを出してもらう。一口飲むと、舌のわきがギュッとなるような酸味、煙くさい香り、そして味が爆発するように広がる刺激で、ウイスキー堪能である。通常のカリラを思うと、かなり派手目の味かもしれない。



飲みはこのくらいにしておいて、有楽町から浜松町、羽田空港へと移動。飛行機が飛ぶ約1時間前にゆとりを持って到着し、空港でこの記事を書くのであった。

後は千歳に飛んで、そこからJRで帰宅するのみである。久々に翌朝移動ではなく、深夜帰宅になるのだが、疲れ度合いはどちらが大変かなあ…。一泊すると飲み疲れもあるし、翌日は移動の直後からすぐさま仕事突入でもあるし、どちらがいいとも言えないなあ…。と、遊んでいるようにしか見えない出張帰りに、勝手な事を思う私であった。

東京出張(6) 久々老舗洋食店

2014年06月17日 18時16分50秒 | 食べ歩き
お仕事終了。

さて、今日は宿泊せずに帰宅するつもりなのだが、飛行機は遅めなので夕食をゆったりとる時間がある。ということで、銀座1丁目駅に移動。ここでまた変な人物に遭遇。何だか知らない人に絡んでいるようにも、身内の揉め事のようにも見えたのだが、念のためということで、駅員さんに「ちょっと揉めているみたいです」ということでお知らせしておいた。結果を見届けなかったのだが、無事に収まりがついているといいのだが・・・。

それはさておき、今日は昼食が早め、軽めだったので、腹が減った。居酒屋もいいのだが、随分久しぶりに銀座の洋食店「R」に行ってみることにした。



店に入り、2階窓側のテーブル席に着席。メニューを見て構成に悩みながら、まずはハイボールとローストチキン(メニューにはロースチキンとある)を注文することにした。結構腹は減っているのだが、揚げ物は重いし、2品食べたいので何となくボリューム控えめな感じのを選んでみたのだ。

ハイボールでのどを潤しているうちに、さほど時間がかからずローストチキン登場。思ったのとは様相が違い、小柄な鶏(若鶏? ひな鶏?)ながらチキン半身にパスタ、野菜添えが来てしまった。ちょっと予想外のボリュームながらも、食べてみると鶏の汁気は十分あり、皮の部分のうまみもあるし、スパイシーな味付けがいい。これ、こんな短時間でどうやって仕上げているのだろう。



もう一品どうしようかなあ・・・。付け合せにパスタがついていたが、それはそれとして初志貫徹でナポリタンを注文してみることにした。池波正太郎直伝(本を通しての直伝だが)の1品目を食べている途中で、2品目を注文する作戦だ。ついでに赤ワインも追加する。

ローストチキンの余韻を感じている間に、いいタイミングでナポリタンがやってきた。おっと、予想よりも縦に立体感があり、ボリュームがあるかもしれない。



早速食べてみると、かなり濃厚な味わいながら、ケチャップというよりはトマトの味わいが強い感じだ。具はハムとマッシュルームとグリンピースと玉葱かな? 最後にハムが余ってしまうくらいたっぷり入っている。途中でタバスコ、粉チーズの支援を受けつつ、結構腹いっぱいになって食べきった。

なかなか1人で2品は大変かも。2人で3品というのがベスト量かもしれないと思うのであったが、味そのものは古典的で実に申し分ない味。こういうのをゆったり食べる幸せというのはあるものだ。

東京出張(5) クラシック喫茶はいいかも

2014年06月17日 12時10分40秒 | 食べ歩き
展覧会を見終わって、有楽町方面へ戻る。ここで気持ちの悪い人に会う。歩道を歩いていて、互いに向かい合って接近した時に、人の前に手のひらを突き出して私を止め、建物の中に入っていってしまったのだ。瞬きはしてないし、無表情で、暑い中にいながら気味が悪くて、一瞬にして背筋に寒気が走ってしまった。

さて11時過ぎだが、ランチタイムに突入すると混雑が予想されるので、早めに昼食を食べてしまおう。ということで、交通会館の地下に行き、迷った挙句に喫茶店「R」へ。他にも洋食店、中華料理、とんかつ、定食屋さんがあったのだが、まだ準備中だったり、メンチカツ・しょうが焼き盛り合わせセットのように、実にボリューム自慢の店すぎたりしたのである。

そんな中、かなり年配の男性がフロアに何人もいる、クラシックな喫茶店は実に落ち着く。最初にアイスコーヒーを持ってきてもらい、一緒にサラダを食べる。



そしてメインはジャンバラヤ。なんとも珍しいメニューだ。私も札幌の今はなき喫茶店「声」で一度だけ食べたことがあるのだが、昔の喫茶店のちょっとした新メニューだったのだろうか。



味は磐石のスパイシーピラフ的味わい。少しのんびりして、落ち着ける店だった。惜しいのは、ミートソースはあるのにナポリタンがメニューにないところだなあ。



さあ、これで午前中は終了。会社に向かおう。

東京出張(4) やっぱりか!

2014年06月17日 11時37分48秒 | ART
7時前に起床。少々調子が悪いかも。朝食はスープパスタ(きのこクリーム)とおにぎり1つ。今日の東京も暑いだろうなあ。ということで、新聞を読んだりダラダラしながら、9時半にホテルをチェックアウト。おいおい、仕事は? ってかい? 実は午後からイベントがあるので、午前中はずる休み(いや、普通に前半休)なのだ。



ならば、三菱一号館美術館へ行き「ヴァロットン展」を見よう。何故この展覧会を見に行くことにしたかというと、ホテルから近く、会社へも移動しやすく、なおかつ入館券を持っていると思い込んでいたからである。



入館券は「東京駅周辺美術館共通券」というやつで、東京駅近くにある5つの美術館に1回ずつ行けるという優れもの(3000円で)を使おうと思っていたのだが、実は大きな勘違いで三菱の分は既に使っていたのである。このことに気がついたのは既に入口に並んだ時だった(券を出さなくて良かった。恥をかくところだった)。



残っているのは東京ステーションギャラリーと出光美術館なのだが、まさかここから移動するのも面倒くさい。現金で1600円(高い・・・)を支払って入場。さすがに火曜日の午前中とあって、観覧者は少ないのでゆっくり見ていこう。

「帽子を持つフェリックス・ヤシンスキ」:ヴァロットンのサインがレタリングのようなデザインなのだ。
「エミール・ゾラの装飾的肖像」:ビュッフェほどではないが、輪郭線を黒く、太く描いている。
「5人の画家」:ボナール、ヴュイヤール、コッテ、ルーセル、そしてヴァロットン本人。この辺の画家と交流があったようだ。

「トルコ風呂」:アングル風でもあるが、どこか人がバラバラな雰囲気はシャヴァンヌ的でもある。
「ワルツ」:人々の浮遊感と紫の色彩、女性の満ち足りた顔はムンクを思わせる。
「肘掛椅子に座る裸婦」:緑の壁、赤い椅子と床。壁と床の間には黒のラインが入っているが、壁と椅子は緑と赤がそのまま連続している。色彩画家という印象は強い。

「ボール」:赤いボールとそれを追いかけるように駆けだす少女。夏の印象的なワンカットだ。
「マッターホルン」:三菱一号館美術館では版画を多く所有しているようだったが、マンガ調のユーモラスな感じだ。
「ユングフラウ」:これも版画。雲のなびき方に浮世絵の感じがする。

「ロワール川岸の砂原」:形が写実そのものではなく、キュビスムの香りがする。
「夕食、ランプの光」:妻と義理の子供2人とテーブルを共にする自身の姿は、手前で真っ黒なシルエットとなっている。女性関係で複雑な心境にあったらしく、実に面白いのだ。
「ポーカー」:妻の家族がポーカーをしている図なのだが、手前に大きなテーブルがあり、かなりの距離感が感じられる。しかもそのテーブルは真上から見下ろしたような角度に描いてあり、こちらに向かう楯のようにも見えるのだ。

「フェリックス・ヴァロットンのアトリエにいるマックス・ロドリーグ=アンリーク」:これも義理の息子を描いたものなのだが、温かい視線を向けているように見える。
「チェッカーをする女性たち」:娼婦だろうか。裸で暇つぶしをする図である。画の形がかなりの横長で、縦方向への圧迫感が感じられる。
「オウムと女性」:マネのオランピアを思わせる構図だ。黒猫ではなく、緑のオウムがポイントか。

「眠り」:赤の寝椅子とクッション、青の毛布、緑色の壁の中に裸体の女性がいる。無理やりの色彩は彼の特徴の一つだろう。
「秋」:正面を向いて睨みつけるかのような女性、口には緑のスカーフをくわえ、背景は赤のグラデーションになっている。どちらかと言うと「紅蓮の炎」とか「不動明王」という感じ。
「正面から見た浴女、灰色の背景」:灰色のせいか、冷たくエロさのない絵画。普通の風呂ではなく、水風呂に見えてくる。

「引き裂かれるオルフェウス」:女性6人に八つ裂きにされるオルフェウス。憎しみをあらわにしていない女性たちの顔は、進撃の巨人的怖さがある。
「グリュエリの森とムリソン峡谷」:第一次世界大戦の戦場となり、木が焼き払われた所。戦争に対する批判的な作品が何点かあった。

彼の作品以外にはモーリス・ドニ「純潔な春」という巨大作品や、三菱コレクションの景徳鎮窯の良い色彩の陶器が10点ほど展示されていた。また、彼は浮世絵に興味があったようで、かつて所蔵していた歌麿2点、国貞2点が途中に展示されていた。

ヴァロットンはテクニシャンという訳でも、独自の画風を切り開いた訳でもなさそうだが、大胆な色彩感と精神的なものがダイレクトに出てしまう作品が妙に気になる人なのであった。

中庭のアギュスタン・カルデナス「拡散する水」。