ここから上野に移動して、国立博物館へ。チケットを購入するところで「日本国宝展は入場制限があり、10分ほどお待ちいただいています」というアナウンスがあったが、10分待ちならやむをえないだろう。チケットを購入して突入し、平成館の前で並んでいるうちに、雨が強くなってきた。
かなりの雨をしのいで、何とか入場。会場は込んでいるといえば込んでいるが、過去最悪の事態にはまだ遠い展覧会を見ていこう。
■東京国立博物館「日本国宝展」。国宝78点、正倉院宝物11点。感想は「これ教科書にでてる!」。
延暦寺「金銅宝相華唐草文経箱」:これは繊細な名品だ。
大和文華館「一字蓮台法華経 普賢菩薩勧発品」:一文字一文字の下にすべて蓮が描かれているという、恐るべき手の込んだ作品。
光明寺「当麻曼荼羅縁起絵巻」:字に力がある。25体の阿弥陀仏が繰り出してくるところがすごい。
東博「普賢菩薩像」:おお、見たかったやつだ。
京博「日本書紀」:おお! 日本書紀とあって、さすがに皆の足が止まっていた。平安時代に書写されたもので、文中に聖徳太子、冠位十二階、十七条憲法などの文字が見られるというまさに歴史そのもの。
大和文華館「寝覚物語絵巻」:フルカラー、綺麗だ。
来迎院「日本霊異記」:カニの命を救った人の話が書いてあった。カタカナで小さく「カニ」とあるのが可愛らしい。
雪舟等楊「秋冬山水図」:これ、意外に小さいんだよね。世界がひび割れつつあるというシュール作品にも見える。
厳島神社「金銅密教法具」:完璧に金ピカなまま残されている。
仙台市博物館「支倉常長像」:これ見たかったんだよね。仙台まで行こうかと思っていた。
相国寺「玳玻天目」:色合いよし。
法隆寺「広目天立像」:見るからに独自のお姿。邪鬼まで異国風である。
三千院「観音菩薩坐像、勢至菩薩坐像」:もし立ちあがったなら3~4メートルくらいの身長であろうか。中途半端な大きさが不気味な感じを醸し出している。
安陪文殊院「善財童子立像」:昨年国宝に指定されたもの。走り回りそうな軽快な感じが良く出ている。
正倉院「鳥毛立女屏風」:いやあ、これ本物だよ。驚きの出品。
ざっと駆け足で何点か紹介したが、とにかく出品されているものがすごい。他にも法隆寺「玉虫厨子」、東博「地獄草子」、平等院「雲中供養菩薩像」、「縄文のビーナス」、「合掌土偶」、「藤の木古墳出土品」などがある。
また、今日は出品されていないものとしては、「縄文の女神」「仮面の女神」「中空土偶」の土偶3連発と、志賀島「金印」(見たい)、朝護孫子寺「信貴山縁起絵巻」、藤原為家「土佐日記」、雪舟「天橋立図」(見たい)などがあるのだ。東京にいたら何回か行くのであろう。
さすがに展示物が全て国宝+正倉院御物とあって、さすがの私も疲れた。
会場内はかなりの混雑だったが、少し気を長く持てば見られない作品はない。また、私が見終わった後の頃は、入場待ち時間は無しのようであった。しかし、ぷんぷん怒っている人が何名かいたのは意外だった。東京の人は、せっかくこういうのを見る機会に恵まれているんだから、気を長く持たなきゃ。
■東京国立博物館「東アジアの華 陶磁名品展」。国宝1点。
渥美「秋草文壺」:こちらも国宝。
仁清「色絵月梅図茶壷」:派手すぎないすれすれの線。仁清らしい。
「緑釉女子俑」:中国の3級文物。緑の服にほんわかやさしい女性の顔。味がある。
「青磁竹櫛文水注」:竹の文様に瓜のような形。可愛らしい。
「青磁亀形水注」:韓国の国宝。怪獣をそのまま壺の形に丸めたような造形。青磁が濃いところと薄いところがあり、これもまたいい。
「青磁象嵌梅竹鶴文瓶」:細い竹の描写が繊細。淡い色もいい。
■東京国立博物館「常設展」。国宝4点(もっとあったけど)
「千手観音菩薩坐像」「四天王立像」:いいねえ~。
そのほか国宝は「江田船山古墳出土品」「片輪車螺鈿手箱」「寛平御時后宮歌合」「十六羅漢像」等があった。
とりあえず、本館の常設展と「東アジアの華陶磁名品展」も見て、体はぐったり。しかし東京都美術館に行かなくてはならない。