クロタチカマス科の魚は以前カゴカマスというのを紹介したことがありました。今回はそのカゴカマスよりもさらに大きくなるナガタチカマスThyrsitoides marleyi Fowlerの登場です。
ナガタチカマスはクロタチカマス科のナガタチカマス属に含まれています。ナガタチカマス属は本種のみからなります。
他の種とは、細長い体つき、顕著な腹鰭があり1棘と5軟条があること、側線は2本で2本目は体の中央付近をはしることなどにより区別されます。
分布域は南日本、南アフリカ~ニューカレドニアにいたるインド・西部太平洋と紅海です。わが国では高知沖に多いのか一時Mimasea taeniosoma Kamoharaという学名がついていました。この学名は1936年に提唱されたもので、現在は1929年に提唱された学名であるThyrsitoides marleyi Fowlerのシノニム、すなわち同物異名とされました。この例からもわかるように、学名の命名というのは「早い物勝ち」がルールになっています。もっとも、タイプ標本など色々絡んで複雑なことも起こりえるのですが・・・
本種の生息地は大陸棚周辺の海域で、中層を遊泳します。その鋭い歯からも明らかなように肉食性で小魚やイカなどを貪欲に捕食します。
味についてですが、大型の個体は美味しいものの中骨をはずすのに手間が掛かりそうです。小型の個体は小骨が多いためあまり焼いて食べるには適しません。干物がいい?