今日のフィリピン魚は、ニザダイ科、テングハギ属の1種Naso sp.です。幼魚で、種の特徴がまだあまり、あらわれていません。
テングハギNaso unicornis (Forsskål)の成魚と、その頭部。大きな角状突起があり。長崎県産
テングハギの仲間の特徴といえば、頭部の「角状突起」思い浮かべますでしょうが、この突起がない種類も多いです。日本には13種のテングハギ属魚類が分布しているとされますが、うち、角があるのは4種ほどです。この仲間は尾柄部に骨質板があり、腹鰭が1棘3軟条と少ないのが特徴です。
写真のテングハギNaso unicornis (Forsskål)は、全長70cmになる種類です。ほかの種も50cmを超える大型種。この仲間はその独特な風貌から英語ではユニコーンフィッシュと呼ばれています。ただし、角のない種も「ユニコーンフィッシュ」と呼ばれていたりします。
骨質板は多くの種で2個以上ありますが、ボウズハギの類は1個のみ。ニザダイ属の魚の骨質板は4つほどあるのですが、この仲間は腹鰭の軟条数が5であり、テングハギの仲間と区別できます。
ツマリテングハギNaso brevirostris (Valenciennes)
ヒメテングハギNaso annulatus (Quoy and Gaimard)。まだ若いので頭部があまり伸びていない。定置網で漁獲された個体。三重県産
ツマリテングハギNaso brevirostris (Valenciennes)や、ヒメテングハギNaso annulatus (Quoy and Gaimard)などは尾鰭に特徴があります。ヒメテングハギは尾鰭後端が白くなり、ツマリテングハギでは尾鰭に横帯があります。
さて、先ほどの個体の尾鰭です。
この個体も、尾鰭の後端が白く、ヒメテングハギにしてよいのかもしれません。大きさの関係か、ちょっと白色の面積が狭いようにも感じられるのですが。この仲間は成長するにつれ斑紋が変わるものも多く、結局、同定は見合わせです。