今回はちょっと珍しい深海のアンコウです。アンコウ科ヒメアンコウ属のノドグロヒメアンコウLophiodes insidiator (Regan,1921)のように思われる種類です。
ヒメアンコウ属の魚たちは、鰓孔は胸鰭起部よりも前に開孔するという点でアンコウやキアンコウなどと区別することができます。ノドグロヒメアンコウはヒメアンコウ属の中でも、上膊棘と呼ばれる棘が単尖頭である種のグループに属しています。
和名の「ノドグロヒメアンコウ」というのは、口腔内の奥が黒いことにちなむものです。ヒメアンコウは本種によく似ているのですが、口腔内奥部が黒くないことなどで区別されます。
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口腔内に目立たないが白い斑紋があり、最初はアンコウではないかと思ったのですが、鰓孔のようすややや細身の体からこれはアンコウではないな、と思いました。
ノドグロヒメアンコウは初見の魚ではないのですが、これほどきちんとした形状でみられたのはこれが初めてでした。
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左はアンコウLophiomus setigerus (Vahl,1797)、右はノドグロヒメアンコウLophiodes insidiator (Regan,1921)。今回は両方ともから揚げで美味しくいただきましたが、このときはミシマオコゼも一緒に食べたので、味の評価はなかなか難しいのです。