またぶろぐを書くのを忘れてしまい申し訳ありません。気が付けば1月ももうお終いです。1月は茨城県の河川を開拓したり、雑誌(本日届きました、ありがとうございました)にも関われたりと充実した月でした。
アカメ科の魚は世界で3属約10数種が知られている。日本に生息しているのは少なくとも2属2種。沖縄県の西表島かたアカメ科と思われる魚の記録があるのだが標本が得られておらず、どの種かは不明だ。
アカメ科の魚は日本にも多数輸入されている。通称「ナイルパーチ」と呼ばれるナイルアカメ(以下、ナイルパーチ)と、バラマンディの2種。バラマンディはおもに観賞魚として輸入され、通称「シーパーチ」と呼ばれている。ただし成魚は巨大化することを考えるとあまり飼育するのには向いていないのかもしれない。ナイルパーチはここ数年ものすごく輸入されていて、沖縄や奄美など、スーパーではこれの加工品がよく販売されていたものだ。今も販売されているだろうか。現在日本に輸入されるナイルパーチはすべて冷凍されたもの。従来は観賞魚としても輸入されていたが、悪名高い「外来生物法」の対象種となり、輸入や無許可の飼育が禁止される。しかし実際には巨大な水槽があれば飼育できる種で、一律に「飼育禁止」とするのは頭が悪いように思う。まずは生き物の放流を禁止するようなルールをつくるのが先決なんだろうが、環境省など行政系は「放流」が大好きなのだ。
アカメ科は以前はもっと種類がいた。大西洋と東太平洋に生息するホソアカメ科の魚がアカメ科に含まれていたためである。現在は独立した科Centropomidaeとなっている。この科の中にはホソアカメ科の魚12種が含まれ、つい最近この属の魚が観賞魚として日本にも輸入され話題になった。ホソアカメはメーターを超えないのでこの仲間としては飼育しやすいのかもしれない。
分布域は神奈川県~種子島。日本固有種と考えられている。数が減少し、採集や釣りが禁止されている県もあるが、その理由は乱獲というよりも(もちろん幼魚の多数の採集なども問題があるのだが)、生息地の改変である。幼魚はアマモ場にもよく見られ、そのアマモ場を守ることがアカメの保全につながっている。現在ではかなり多くの個体が見られ、危機は脱しているように思われるが、それでも生息地の破壊ということはほかの魚でもよく見られる危機のパターンだ。今の日本は河川の改修を行い、「治水」「保安」の御旗のもとに生き物たちを殺しまくっている。アカメの飼育についても興味がある人が多いだろうが、最大でメーターオーバーにもなる種なので、一般的な家庭にはすすめられない。将来的に幅300cmの巨大水槽の購入を約束できる人しか飼育してはいけない魚である。
さて、長々と難しい話が続いたので、アカメの特徴をご紹介。重要な特徴として、側線が尾鰭にまで達するのだ(ただし写真ではわかりにくい)。尾鰭は大きく丸い形で、体高も高く背鰭棘もよく伸びており、この間のスズキとは容易に区別できる。ちなみに今回は2個体入手しているが、この尾の写真はトップとは別の個体のものである。
頭部の様子。高い体からしゅっとした、小さい頭が特徴的。眼が赤いから「アカメ」。口は下顎のほうが長い。アカメ科の魚は先ほども述べた通り、日本に明らかに分布しているといえるのはアカメとアカメモドキの2種類。アカメモドキは1属1種で、インド洋の東部~西太平洋に生息し、日本では奄美大島以南の琉球列島に産する。ややずんぐりした体で、上顎が下顎より長く、側線有孔鱗数がアカメよりも少ないのが特徴である。
なお、食味については不明。アカメは以前魚市場に入ったときに購入を逃してしまったことがある。今回の個体は、残念ながら冷凍→自然解凍→冷凍ということをしているため、あまり食さないほうがいいかも、ということであった。今回のアカメも、前回のスズキ同様に「サビキのカネマン」さんにいただきました。本日、無事耳石も採集できました。ありがとうございました。