魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ミズウオダマシ

2017年04月21日 10時47分51秒 | 魚紹介

北海道シリーズも本当に残りわずかに。今日はヒメ目・ミズウオ科・ミズウオダマシ属のミズウオダマシ。

ミズウオダマシ属の魚は従来はハダカエソの仲間に含まれていたことがあったが、どうやらミズウオやキバハダカと単系統群を構成するものとされている。ただミズウオダマシが所属する科としてはミズウオ科の中に含まれたり、あるいはミズウオダマシ属1属を含む独立した科とされている。今回は日本産魚類検索第三版に従い、ミズウオ科とする。なお、このぶろぐで、ミズウオ科の魚をご紹介するのはこれが初めてとなる。今回のミズウオダマシは全長1142mmもあり、これまで出会ってきたヒメ目の魚としては最大のものであった。

脂鰭

ミズウオ科魚類は日本からは4属4種が知られている。ミズウオダマシがほかの3属3種とくらべて大きく異なっているのは背鰭がないところである。体の後方に見えるのは脂鰭で、これはミズウオにも、キバハダカにも、クサビウロコエソにも、そしてこのミズウオダマシにも見られる特徴である。

頭部

 

顎歯がない(成魚)

 

頭部は細長い。下顎の先端は上顎の先端よりも明らかに前方に突出するのが特徴である。上顎・下顎ともに顎歯はない。幼魚や未成熟の個体では大きく目立つ牙のような歯があるのだが、成魚では消失してしまうのだ。

「日本の海水魚」に掲載されているミズウオダマシには歯がある。しかしその個体はまだ未成熟の個体である。また少なくとも私がもっている版の個体はグリーンランド産の個体であり、ミズウオダマシではないと思われる。ミズウオダマシは従来は1属1種とされていたが、現在はAnotopterus pharaoAnotoperus nikpariniAnotopterus voraxの計3種に分かれている。A.pharaoは北大西洋産であり、A.nikpariniは北太平洋産、A.voraxは南半球に広くすむものだという。ということで日本に生息しているのはA.nikpariniである。日本における分布域は北海道のオホーツク海、太平洋岸~小笠原諸島近海、海外ではオホーツク海からメキシコのバハ・カリフォルニアにまで分布。沖合の表層から中深層を遊泳しているが、なかなか出会えない魚である。生息水深は700mより浅いところに多いようだ。

ミズウオの肉は水っぽく、煮ると溶けるので食用には向かないとされている。今回私も試してみたかったのだが、冷凍庫で保管したら大量の水が出てきてそれが鮮度を悪くしてしまったようだ。腐った臭いで食べるどころ出はなかった。しかしながら奇妙で不思議な出会いを楽しむことができた。坂口太一さん、ありがとうございました。

コメント
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