今日はFacebookのコミュニティの中で、イシガキダイの子の話が出てきたので。ちょっとイシガキダイの幼魚のことを。
スズキ目・イシダイ科・イシダイ属の魚であるイシガキダイの子は全身が茶褐色で、黒色点が散らばり眼を通る帯があり、チョウチョウウオの仲間のように見えることがある。チョウチョウウオの仲間と違うところは、イシガキダイは好奇心旺盛で潜っていると近づいてくるが、チョウチョウウオの仲間は逃げることが多いところであろうか。
もう少し大きくなると黒い斑点が大きくなり、黒い色の領域のほうが多くなる。釣り人が知っているイシガキダイの姿になっていく。
五島列島産の成魚。全長50cmほど。体側の黒い斑点が細かい。一方老成した雄はこの斑点が消え、口の周りが白くなる。これが通称「クチジロ」である。イシダイの雄は逆に口の周りが黒くなる。これが「クチグロ」だ。イシガキダイの雄は全長80cmを超える大型種。南方の磯にいけば大きいのが釣れたりする。
このイシガキダイの稚魚は春から初夏、流れ藻についてくる。流れ藻採集の実習では親指の爪くらいのかわいいサイズの個体を採集したことがある。その時はほかにもメジナの子やホウボウの子などが採集されていた。春の終わりの海には稚魚がたくさん現れる。プランクトンも多いから稚魚も育ちやすいのだろう。イシガキダイの稚魚は水槽で飼育するとほかの魚をつついたりする。好奇心旺盛だが、様々な魚を混泳する水槽には向いていないのだ。逆に大きな魚と一緒だと、ちょっとしたことで状態が崩れることも。
以前モジャコ漁で漁獲されたイシダイ属の幼魚をもらってきたことがあったが、イシガキダイとイシダイ属の交雑種(イシダイ×イシガキダイ)も多く見られた。イシダイは重要な食用魚で養殖もおこなわれる人気の魚であるが、イシガキダイはあまり人気がないらしい。以前のシガテラ毒の件が尾を引いているのかもしれない。マスコミも常に大げさな点があるような気もするのだが。