久しぶりに日向灘の深海魚。スズキ目・キホウボウ科・ヒゲキホウボウ属のナンヨウキホウボウ。
ナンヨウキホウボウは今回久しぶりに見た種類。ヒゲキホウボウに似ているが、吻棘がヒゲキホウボウと比べてやや細い、二等辺三角形のようになっているのが特徴。ヒゲキホウボウの吻棘はもっと太い三角形のように思える。
頭部腹面。突起の様子は明らかにヒゲキホウボウと違うような感じがする。下顎喉部にあるひげは3対。また最外部唇鬚の分枝に皮膜があるのも特徴ではあるのだが、残念なことにその部分がピンボケしてしまっているのが残念である。
ナンヨウキホウボウの学名について、従来はScalicus hiansとされたがScalicus orientalisを使用するべきとされた。なおScalicus hiansは今ではヒゲキホウボウの学名とされている。従来ヒゲキホウボウの学名はPeristedion amiscus(=Scalicus amiscus)とされたがこれはS.hiansの異名となっているようである。ナンヨウキホウボウはホロタイプがモルッカで獲れたほか、フィリピン、台湾、そして日本沿岸から漁獲されている。国内においては土佐湾、日向灘、鹿児島県の東シナ海沿岸で見られる南方性の種であるといえる。今回の個体は日向灘のもので、10年以上前にみた個体も同様であった。日向灘には多いのだろうか。
今回はHN「深海魚ハンター」さんからのいただきもの。ありがとうございます。