昨日キヘリモンガラをご紹介したが、今日はまだこのぶろぐではしっかり紹介できていなかった「本家」を。フグ目・モンガラカワハギ科・モンガラカワハギ属のモンガラカワハギ。
科の標準和名になっているモンガラカワハギはこの科の中でも派手な色彩で知られる。黒いからだに、腹部にある白色の円形斑が特徴的である。この派手な色彩により、ツノダシなどとともに熱帯性海水魚のイメージが作られている。彫刻や土産物などでも本種がモチーフになったものが多くある。
吻部は唇付近をのぞき鱗に覆われている。このモンガラカワハギでは吻端付近に橙色の帯があるのが特徴だが、この付近もびっしり鱗に覆われている。昨日このぶろぐでご紹介したキヘリモンガラは吻部に鱗がない。ゴマモンガラも吻端にまで鱗があるが、口角から後方に伸びる皮褶があるのでモンガラカワハギとは見分けられる。この特徴からゴマモンガラも別属になるかもしれない。ゴマモンガラについてはキヘリモンガラ属と共通する特徴もいくつかある。そうなればモンガラカワハギ属はモンガラカワハギのみの1属1種である。
キヘリモンガラ幼魚
キヘリモンガラの幼魚は写真のような色彩で、表層の浮遊物につくが、モンガラカワハギの幼魚はなかなか見つからなかったことで有名。多くはやや深い岩礁域に生息しているようで、アクアリストが素潜りで採集するのは困難である。成魚は浅いサンゴ礁域に生息している。
モンガラカワハギは西太平洋では食用になっているが、有毒とする報告もある。本種はカニ、エビなどの甲殻類から軟体動物、小魚のほか、棘皮動物、カイメン、サンゴなどさまざまな餌を食う。そのため毒をもつことがあるのだろう。観賞魚としての価値も高いが、サンゴ水槽が人気の昨今はなかなか本種のような魚を入れるのはしにくいようである。また性格も極めてきつく、混泳には全く向いていないので注意したい。このモンガラカワハギは2016年、喜界島より「がほー」さんに送っていただいたもの。いつも、ありがとうございます。
さて、そんなモンガラカワハギも以前食したことがある。高知県産の個体をいただいたもの。体の色彩は結構残念なものになっていたので、こんな写真しかない。申し訳ない。
これを焼いて食べた。しかし皮下の部分、妙なにおいが気になった。おそらく入手して時間がたってしまったからだろうか。冷凍のものもこのようなにおいがする。いずれにせよ、皮の下の部分、赤黒くなっているのは取り除いておくのがよさそうである。次にモンガラカワハギを手に入れたら新鮮なうちにお刺身で食べたいと思う。