今日で石垣島の魚のご紹介も最後。スズキ目・キンチャクダイ科・サザナミヤッコ属のタテジマキンチャクダイ。
タテジマキンチャクダイは東アフリカ~ハワイ諸島、紅海、地中海東部(スエズ運河経由で分布を拡大した)に生息する。ハワイ諸島にも生息するというのは、実はこの属の魚としては唯一である。本種は生息海域によって色彩や形態的に若干の違いがあり、一般的にインド洋や紅海のものは背鰭の後縁が丸く、尾鰭が鮮やかな橙色になり、太平洋のものは背鰭の後縁がやや突出しているという特徴がある。ただし、太平洋の一部地域では、太平洋産であっても背鰭の後縁が突出しないような地域個体群がいるとされ、大型ヤッコの地域個体というのは面白い!と思う。また本種はよく知られているように、幼魚から成魚までの成長過程において、色彩がや模様が大きく変化することで知られる。幼魚は体側の模様から「うずまき」と呼ばれ、大型水槽を所有するアクアリストにおいてはその成長の様子を家庭の水槽でも観察することができる。この個体は石垣島産で、背鰭の部分からもお分かりの通り、太平洋のタイプ。もし太平洋産とインド洋産のものが別種とされれば、インド洋産のものには新しい学名がつけられるか、Pomacanthus nicobariensisなる学名が復活するのだろう。タイプ産地は日本とされているので、日本産の学名の変化はおそらくない(本当に日本なのかは怪しい気がするが)。
このタテジマキンチャクダイは、イソモンガラ、キヘリモンガラ、そしてヒレグロベラとともに煮つけにして美味しくいただいた。タテジマキンチャクダイを食するのは今回が初めてではなく2回目であり、前回は2020年、お刺身で美味しくいただいた。今回は煮つけでいただいたが、煮つけでも美味しいことが確認できた。なお、以前のタテジマキンチャクダイを食した時の紹介はまだ復活できていないが、近日中には復活させたいと思っている。
今回のタテジマキンチャクダイは、フウライチョウチョウウオやゴマチョウチョウウオなど、最近このぶろぐでもご紹介した石垣島のほかの魚と同様、宮崎在住の「あらら」さんが石垣島の海人の方から頂いたものを、お願いして譲っていただいたもの。ありがとうございました。