ドジョウ 茨城県産 体高は高く体は短い
ドジョウ 岐阜県産 体高は低く体が長め。上の個体とは明らかに違う雰囲気だ
最近、妙に気になる魚の養殖がある。淡水魚の養殖だ。淡水魚はヒト、とくに内陸のヒトにとっては身近な存在であり、昔から様々な魚が養殖されていた。コイ、アユ、サケマスの類、フナ、ドジョウ、ナマズなど。食するもののほかにニシキゴイやキンギョ、ヒメダカ、最近はカラフルなメダカなどの観賞魚、ニジマスやヘラブナといった釣りの対象魚など。
これらの魚の養殖にはいくつかの方法がある。河川から水をひき、その河川にすんでいた魚を養殖池に隔離して養殖するという方法。しかしそれ以外の多くの方法では、よそから魚を持ってくることになる。
それでも逃げないようきちんと管理していれば問題ではないが、もしそれが逃げたら「外来魚」となってしまう。もっとも前者であっても、病原菌や寄生虫などの問題もあり、逃げたら問題になってしまうのであるが。
この手の問題についてはこのぶろぐでも延々と、人によってはうんざりするくらい取り上げてきた。特に先月大阪府で行われた日本魚類学会主催のシンポジウムのあと、放流問題を何とかしようとする機運が、淡水魚愛好クラスタの間ではさらに高まってきたように思われる。
その大阪といえば、昨年に泉佐野市でキンギョの大規模な放流があった。あれほどいろいろな人から非難・批判されていたのだが、結局今年も開催された。今年は逃げないように網をはるなど工夫はしていたが、実際にはそのような網を張っていても病気であるとか、細かい寄生虫などはすりぬけてしまう。結局今回のシンポジウムではキンギョの放流を行った団体の参加は確認することができなかったが、それがすべてといえるだろう。
そんな大阪府にある河内長野市でまたもこのようなことがあった。
「稲作よりももうかる?府が遊休農地でドジョウ養殖へ」(朝日新聞デジタル、リンク先はインターネットアーカイブ)
ようは遊休農地となっている水田に水をはり、ドジョウを養殖しているというのである。それならば「ああ、土地の有効利用か」と思う人もいるかもしれない。しかし、とても重要なことがある。それは「そのドジョウはどこから来たのか」である。
今回養殖に使ったのは河内長野産のドジョウではなく、島根県の安来のドジョウを放流したという。写真を見たものの、あのような田んぼでは雨が降るとドジョウが逃げ出してしまう可能性がある。ようは外来魚の放流につながってしまうようなことをしたということである。
タイトルに「稲作よりもうかる?」という文字がある。これにも疑問がある。簡単に言えば稲作よりも金儲けに適している、ということだ。人間は金儲けのために自然環境を、生物多様性を損ねてきた。ダムを作ったり、無駄な公共工事をしたり、近年はメガソーラーによって発電されるごくわずかな電気のために多くの生物の生息地が奪われてしまっている。最近は生物学者や省庁の人が「採集ガー」などと言っているが、実際に良心的な愛好家により採集され、いなくなる生物はわずかな量であり(たまにとんでもない量の生物を採集していくような人はいるが)、採り子などによる乱獲さえ防ぐことができれば採集することでいなくなるなんてことは防ぐことができるはずなのである。
一方でイタセンパラやアユモドキのような魚は採集を禁止したところで増えただろうか?従来身近であった生物が姿を消したと嘆く人も多いが、それはたくさん採集してしまったからいなくなってしまったのか?採集を禁止して守ろうといっている人たちははたしていつその問題に気が付くだろうか。環境開発、メガソーラー、乱獲、不法投棄。これらは日本人が得意とする分野である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます