魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

サケビクニン

2017年04月04日 14時31分31秒 | 魚紹介

今日は久しぶりの北海道羅臼産魚。1月に書いたカレイ科「ツノガレイ」以来の紹介となる。今回は難解なクサウオの仲間。スズキ目・カジカ亜目の魚で、カジカ亜目に近いとされるゲンゲ科の魚とならび、北の海を代表する底魚だ。本日の登場はクサウオ科・コンニャクウオ属のサケビクニン。

サケビクニンは魚類検索の第三版ではサケビクニン複合種群という形で登場している。魚類検索第三版がでた2013年当時はまだこれについて整理が行われている途中であったためである。

Orr et al. (2015)の分布域図によればサケビクニンは日本ではオホーツク海近辺にのみ分布する種で、日本海のほうにすむピンク色のビクニンは多くがザラビクニンか、トゲビクニンということになる。ザラビクニンには明るい色のlight morphotypeと、暗色のdark morphotypeの2タイプがあるようだ。一方北海道から東北地方の太平洋岸に生息するものはアオビクニンということになるようだ。しかし正直いって、外見からはザラビクニンのdark morphotypeをのぞき、これらの魚を同定するのは困難である。従来はサケビクニンとザラビクニンは色の違いだけで見分けられるとされたが、それも必ずしも有効というわけではなくなっている。胃や腹膜の色で見分けられるともされているが。

上記文献ではサケビクニンの分布域は北海道のオホーツク海、樺太のオホーツク海岸、カムチャッカ半島のオホーツク海岸となっている。オホーツク海にしかいないが、オホーツク海には広く生息しているということなのだろう。

基本的にクサウオの仲間はあまり食用とはされていない。韓国ではクサウオは食用とされているようだが、日本ではクサウオの仲間を積極的に販売しようとしているところはあまりみない。今回は小さいのを唐揚げで食したが、まずいものではなかったものの、あまり味は感じられなかった。この写真ではもっとも手前のものがサケビクニン、奥はアバチャンである。じぇじぇじぇ。クサウオの仲間は卵生で、以前このコンプレックスのアオビクニンをさばいたときには大きな卵が多数出てきた。クサウオの仲間の卵は浮遊するものではなく、あまり卵の状態で移動しないため海域ごとに種の違いがでているのかもしれない。

今回のサケビクニンも坂口太一さんに送っていただきました。ありがとうございました。

※文献

Orr J.W., Y.Kai & T.Nakabo (2015) Snailfishes of the Careproctus rastrinus complex (Liparidae): redescriptions of seven species in the North Pacific Ocean region, with the description of a new species from the Beaufort Sea. Zootaxa (2015) 4018(3): 301–348.


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