カマス科の魚は世界でカマス属1属からなります。日本産は11種が知られていますが、いくつかのグループに分けられています。
体が大きくなり鰓耙がないもの(オニカマスなど)、鰓耙がこぶ状のもの(オオメカマス)、棒状の鰓耙が2本あり、鱗は数がすくなくやや粗く、腹鰭起部が第1背鰭直下よりも前方にあるもの(アカカマスなど)、棒状の鰓耙が1本あり、鱗は数が多くてこまかく、腹鰭起部が第1背鰭起部の直下、もしくはわずかに前方にあるもの(ヤマトカマスなど)。
日本産の魚種に限ればこの4つのタイプにわかれますが、本州から九州の防波堤で釣り人におなじみなのは後方の二つでしょう。前者にはアカカマスやタイワンカマスが、後者にはヤマトカマスなどが含まれます。
写真のホソカマスは鰓耙がひとつで、鱗がこまかくて数が多い(側線有孔鱗数140~150)、腹鰭起部が第1背鰭起部下方のわずかに前方にあることからヤマトカマスによく似た種類です。
ヤマトカマス
ヤマトカマスに似ていますが、体側には腹部、および側線と重なるように橙色の縦帯があることで、体側下方に縦帯が1本ある(不明瞭なものも多い)、ヤマトカマスと見分けることができます。またホソカマスは側線上方横列鱗数(15~16)、側線有孔鱗数(140~150)もヤマトカマス(それぞれ12~13、119~136)より多いです。
基本的には熱帯性の種類であるホソカマスは従来琉球列島から記録されていましたが数は多くないものの相模湾や紀伊半島、高知県以布利などで記録があります。この個体は三重県南伊勢の定置網で漁獲されたもの。送っていただいた漁庄丸さんに感謝です。海外では西-中央太平洋に分布し、ハワイ諸島からの記録もあります。
日本ではカマスの仲間は広く食用とされています。アカカマスやタイワンカマスは刺身、塩焼きでも美味しく、ヤマトカマスはやや水っぽいのですがそれでも干物などで美味です。しかしながら南方のオニカマスのように、食中毒を引き起こすような種もいます。このホソカマスは食用にできるのですが、残念ながらこの個体はフォルマリンで展鰭をしており、食用にはできません。
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