魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

濃尾平野のメダカ

2010年10月18日 22時29分23秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)

平野部にすむ日本人にとって、メダカOryzias latipes  (Temminck and Schlegel)は最も身近な淡水魚の一つといえます。メダカは平野部の用水路・ため池・水田にくらし、たくさんの「がき」を育ててきました。私自身も、この魚に育てられた「がき」の一人でした。

この魚はまた、地方名が非常に多く、そのことからも古来人間にとって身近な存在であったことがうかがえます。

そのメダカたちは近年、どうなったでしょうか。

最近メダカは宅地造成などで水田が減っていき、なかなか見ることができなくなりました・・・という向きがありますが、そういうことを伝えますと、すぐ「何かしないと」と今の人間はすぐ手をうちます。そして今の小学生によりメダカを手取り早く増やすために「飼って、放流」ということが行われているケースがあります。

しかし、この放流が逆に悪影響を与えるケースも多いのです(遺伝的多様性を損なう、劣勢遺伝子の勢力拡大、ほか)、

一概には言えませんが「善意の放流」が必ずしも「善」であるとは限らない、ということです。

メダカを脅かす原因はこの「善意の放流」だけでなく、外来種の問題もあります。

この魚はメダカ・・・ではありません。

外来種のカダヤシ(タップミノー)Gambusia affinis  (Baird and Girard)です。

この魚は和名の通り、「蚊絶やし」のために移入された外来種です。この魚は繁殖力が強く(仔魚を産む)、攻撃性が強いなど、在来のメダカを駆逐する要素を多数持っています。都市近郊の小規模な用水路では、完全にメダカとカダヤシが入れ替わった場所もあります。現在では「特定外来生物」に指定され、生きたまま無断で飼育・運搬などができなくなりました。

今回採集した場所ではメダカばかりで、カダヤシは見ていません。しかし生物多様性という面では、それを脅かす外来種のウシガエル、アメリカザリガニ、オオフサモなども見られ、安泰とは言えません。さらにいえばこのメダカももしかしたら「善意の放流」による個体かもしれません。この個体が在来であること、そしてカダヤシなどの外来種がこれ以上持ち込まれて放されないことを祈りたいとおもいます。

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平野部の用水路へ

2010年10月17日 23時14分12秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)

今日は濃尾平野の小さな用水路へ採集に行きました。

田んぼにはすでに黄色い稲穂が見られ、すすきもだいぶ目立ちます。

何か所か回ったのですが、ある場所は魚の種・量ともに最も多い場所でした。

手網でひと掬いしますと、多く入るのがメダカで、次いでシマドジョウ類、さらにはゼゼラなど。

この場所も外来種が幅を利かせます。前回訪問した用水路では「カダヤシ」が多数。このポイントでも、ウシガエル、アメリカザリガニ、オオカナダモ、コカナダモ、オオフサモなどがいました。この場所では日本在来のメダカが多数見られましたが、これももしかしたら「善意の放流」によってたくさん見られるようになったものかもしれません。

その中で可愛らしい茶色いくねくね君。これは「カラドジョウ」かとおもいネット検索。
在来の可能性もあるドジョウMisgurnus anguillicaudatus (Cantor)のようでした。ちょっと「ほっ」

そしてこちらは移入種のアメリカザリガニProcambarus clarkii (Girard)。移入種も特定外来生物をのぞき、大概は持ち帰っています。

ここで採集できた魚は、あす以降記事にしたいと思います。

ちなみにこのポイント、底は非常に厚い軟泥層があり、歩くと足をとられることがあるため結構危険なポイントです。

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ナマズの仲間

2010年10月15日 23時49分36秒 | 魚介類飼育(淡水)

先週から、ナマズの仲間が我が家で過ごしています。

この子です。

レッドテール・セルフィンキャットという種。交雑種で、学名はついていません。

とりあえず、ネットなどでいろいろ調べてみてわかったことは

1.レオパードキャットフィッシュPerrunichthys perruno SchultzとレッドテールキャットフィッシュPhractocephalus hemioliopterus (Bloch and Schneider)の交雑個体であること。

2.この交雑個体は、以前から熱帯魚店ででまわっていること。

3.60cmくらいまで大きくなること。

ということ。1.は名前より大体納得。セルフィンキャットというのは、英語ではレオパードキャットフィッシュといい、ずんぐりした体形のナマズ。レッドテールキャットフィッシュのほうは、以前テレビCMなどでも登場し話題となったナマズで、尾が赤く、体側に1本の白色縦帯があるものです。いずれもピメロドゥス科の魚で、南米にすむ魚です。

2.は熱帯魚業界ではよくあることで、交雑種は熱帯魚ではいろいろな種類が知られています。金魚やグッピーでも掛け合わせによってさまざまな品種が生み出されています。

3.は最大で1mを超えるレッドテールキャットフィッシュにくらべ、小型(といっても60cmを超える)のレオパードキャットフィッシュのほうの特徴がよくあらわれているといえる形質です。色彩や斑紋などもレッドテールキャットフィッシュより、マーブル模様でむしろレオパードキャットフィッシュが持つ特徴に似ています。

現在は小型水槽で過ごしています。髭にトラブルがあるらしく、明日から暫く塩水浴をしようか、模索中です。餌は今のところカダヤシ(冷凍)や昆虫を食っています。同居魚について、どんな魚と一緒に飼育できるかも考えています。しかしこの種はいずれも性格がきついことで有名ですが・・・

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餌を変えた

2010年10月14日 23時48分09秒 | 魚介類飼育(海水)

 

最近、新しい配合飼料を購入。

「キョーリン」から出ている「メガバイト グリーン」です。

この「メガバイト」には「レッド」「グリーン」があるのですが、我が家にはヤエヤマギンポなど植物性の魚もいますので、植物質のものを多く含む「グリーン」を購入しました。

餌食いは非常によく、肉食性のミツボシキュウセンやマッコスカーズ・ラスもこの餌をよく食べます。

このほか従来使用していた配合飼料もあげています。

また藻類をはむヤエヤマギンポのためにシボリの水槽に小さな石を入れてコケをはやします。シボリ水槽では多数のリン酸が付着しているので、コケの生育を促してくれます。他、小型水槽のハゼやボラたちも元気。ベニワモンヤドカリの小さいほうはこの間脱皮しました。大きいほうは60cm水槽にいますが、皆元気。

ヤエヤマギンポSalarias fasciatus (Bloch)。採集から5カ月経ちます。元気いっぱい。

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ブリ属とその偽物

2010年10月10日 23時24分14秒 | 魚紹介

アジ科の魚でも特に大型になるのはブリ属の魚です。日本産は4種ですが、これらはまた美味な魚としてもよく知られています。

ブリSeriola quinqueradiata Temminck and Schlegelの成魚です。これは近くの市場で購入。重さ2.1㎏、体長536mm、全長638mmもある大型個体。これで780円は安いです。しかも養殖ではなく天然もの。これはなかなかうまい。

ということで我が家で2日間この刺身を味わいました。

ブリの特徴は、これ。中坊編(2000)で上顎上後角といういい方をしていますが、簡単にいえば上顎の後端です。それが角ばるのだそうです。ヒラマサは丸く、カンパチは成魚で丸く分厚くなる、とのこと。

ヒラマサは残念ながらあまり見たことがないのですが、最近は切り身さえあまり見ません。シガテラ中毒例もありますが、基本的には美味しい魚のようです。

カンパチSeriola dumerili (Risso)は日本からインド・太平洋域、そして大西洋にすむ種とされておりますが、かつては日本~インド・太平洋にすむものと、大西洋産のものが別種とされていた時代がありました。
その時の日本産のものの学名は
Seriola purpurascens (Temminck and Schlegel)でした。

カンパチも残念ながら天然ものの大型個体はあまり見なくなりました。養殖物や、「しお」とよばれる小型のものはよく出回っていますが・・・。回転寿司などのカンパチは殆どが養殖物といわれています。しかし本種に酷似した日本産のもう1種、ヒレナガカンパチは天然ものがよく出回っています。

ただし今はまだ養殖物が使われているだけでも「まし」といえます。かつては別の魚をカンパチと偽り並べていたこともありました。

不鮮明な写真で申し訳ないのですが、これがスギRachycentron canadum  (Linnaeus)です。スギはスズキ目スズキ亜目、スギ科で1属1種の魚です。沖縄や東南アジアで大量に養殖され一時「カンパチ」「クロカンパチ」という名で市場に出ていました。現在はこれらの呼び名はできなくなったため、「オキナワスギ」という商標(?)で出荷されているようです。このスギはコバンザメに近い仲間といわれています。

さてさて。ブリ属のうち、カンパチ・ブリは食べました。いつか、ヒラマサを食べてみたいです。もし食べられたらまたレポートします。

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