全日本フィギュアスケート選手権2021、ペア・フリー(ジャッジスコア)。
第90回全日本フィギュアスケート選手権(2021)、女子フリー(ジャッジスコア)。今日も現地観戦メモから。
<G1>
大庭雅 SP:55.69(24) FS:109.27(18) 合計:164.96(19)
映画「タイタニック」♪ 紺色。冒頭に3フリップ、続いて2アクセル+3トウとしっかり跳ぶ。後半のジャンプは回転不足やqもあったが、できることは全て出しきり、大きなミスのない堂々たる演技。ちゃんと映画の世界が見える。
長く続けてきてよかった
本田真凛 SP:55.73(23) FS:100.80(21) 合計:156.53(21)
映画「LOVERS(十面埋伏)」♪ パステル系パープルとグリーン。英語のソプラノボーカルで、2アクセル+3トウ、3サルコウ、くるくるターンから3ループなどを決める。フリップが不調なのか、1回転になったり転倒したり
動きの柔らかさは一幅の水墨画のよう。ジャンプの着氷姿勢はジュニア時代と変わらずきれいで、イナバウアーなどは魅力的。
この人の才能を活かすには、ジュニア年代の栄光は早すぎたのかも、と思う。
籠谷歩未 SP:55.80(22) FS:102.59(20) 合計:158.39(20)
映画「アナスタシア」♪ 紫。冒頭の3ルッツで転倒したが、それ以外はミスなしで頑張る。3フリップ、2アクセル+2ループ+2トウ、3フリップ+2ループなど、2つ目にループを跳ぶのが得意。
ボーカルの前半とインストの後半の2部構成でめりはりがつく。よく動けていた。
白岩優奈 SP:56.93(21) FS:88.96(23) 合計:145.89(23)
リムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」♪ 緑。大きくリンクを使って滑り出す。3サルコウ、2アクセルは良かったが、3ルッツ転倒、フリップでパンク、後半も3ルッツ転倒とジャンプは厳しかった。
スピンの回転が速いのはいいところ。せっかくの名曲なので、振付にもう一工夫欲しい気がした。
キス&クライには本田武史コーチ。
荒木菜那 SP:57.11(20) FS:117.14(14) 合計:174.25(14)
「Courage」セリーヌ・ディオン♪ オレンジにゴールド。最初の3ルッツからラストの2アクセル+2トウ+2ループまでノーミス qも<もなく、GOEがマイナスになる要素もない。
歌詞と振付が上手く合っている。足を前から上げて後ろに回す姿勢のスパイラルで盛り上がる。ジュニア時代のように伸び伸びと滑れた 終わって満面の笑顔
竹野仁奈 SP:58.36(19) FS:83.48(24) 合計:141.84(24)
「カルメン」♪ 黒に赤。大柄で出てきただけでリンクに映える。しかし3フリップでオーバーターン、3ルッツ転倒、トウループはパンクと安定せず、3サルコウ+2トウをなんとか下りた。アクセルも1回転になったが、2アクセルを続けてシークエンスとする。
アリアのパートで見せたステップが一番よかったかな。
<G2>
浦松千聖 SP:58.41(18) FS:94.45(22) 合計:152.86(22)
映画「戦場のメリークリスマス」♪ 赤のワンショルダー。ドン、ドンと大きな太鼓の音から、切ないギターの調べ、続いて女性ボーカルという構成の音楽 2本のフリップにアテンション、回転不足やダウングレード、パンクもあって、ジャンプは好調ではなかった。
構成はよいプログラムで、ぴしっとポーズを決めるのが合っていた。スパイラルが良かった。
松原星 SP:59.13(17) FS:111.60(16) 合計:170.73(16)
映画「ピアノ・レッスン」♪ 黒にブルーストーン。冒頭の3ルッツを巧く決め、フリップが2回転になった以外ミスなし。2アクセル+2トウ+2トウ、2度の3サルコウ+3トウとしっかりプラスGOE。スピンとステップもレベル4を揃えた。
ゆったりとしたスパイラル、じっくり見せるヘアカッターのレイバックスピンなども大人っぽくていい
竹野比奈 SP:59.33(16) FS:110.24(17) 合計:169.57(17)
映画「タイタニック」♪ リンクを大きく使って滑り出す。冒頭のルッツでパンク、3フリップややオーバーターン、2アクセル+3トウ決まる。後半2アクセル+オイラー+3サルコウも頑張った。
曲調の変化をうまく使い、スパイラルやイナバウアーのコレオで盛り上げていった。
最後のシーズンと聞いているが、今日のフリーは満足できたかな
佐藤伊吹 SP:59.38(15) FS:112.48(15) 合計:171.86(15)
「Tree Of Life Suite」♪ 白で裾に赤。2アクセル+3トウ、3ループ、後半2アクセル+2トウ+2ループなど、ほぼノーミス 回転不足やqがつくものもあったが、しっかり跳びきった。終わって少し涙
コレオのスパイラルが大きくてスピードもある。全体に変な癖がなく、オーソドックスでいい。
横井ゆは菜 SP:59.84(14) FS:124.00(9) 合計:183.84(12)
クイーン・メドレー♪ まずは大きな2アクセルを下り、観客の手拍子と共にこの作品を作っていく。3フリップ、3ループとしっかり決めたが2アクセル+3トウで惜しい転倒。しかし後半3ルッツ、3サルコウ+3トウ+2トウを決めたのは偉い!
最後に持ってくるステップ、よく頑張った
吉田陽菜 SP:61.35(13) FS:126.09(8) 合計:187.44(9)
「Planet Ocean Suite : Underwater - I Come From The Ocean - Coral Tree」♪ ターコイズブルー。この滑走順でフリーを滑るのは不本意だったかもしれないが、それを吹き飛ばした。
3アクセル、こらえて着氷。2アクセル+3トウを下り、3フリップや3ループはきれい。アドレナリンが出て回り過ぎるのか、抑えるような着氷がいくつかあったが、転倒や抜けなく跳びきる。後半に3ルッツ+3トウが入るのは強い。
強い意志を感じさせる演技だった。世界ジュニアに行けるか。
<G3>
山下真瑚 SP:61.84(12) FS:117.77(13) 合計:179.61(13)
映画「SAYURI」♪ 薄茶に紫。きゅきゅっと合わせた手を動かす所作が可愛い振付。3ルッツ+3トウ+2トウが見事に決まる 3ループの転倒、3ルッツ+3トウ(回転不足)、3サルコウ(q)+2トウなど、微妙に減点になるところが惜しい。
とはいえ、太鼓の音でのステップはなかなか切れがよく、スパイラルからイナバウアー、スライディングにスプリットジャンプと畳み掛けるコレオは盛り上がる。最後まで頑張った。
柴山歩 SP:62.84(12) FS:123.64(10) 合計:186.12(10)
「ドン・キホーテ」♪ オレンジ系のチュチュ。冒頭の3ルッツ+3トウから後半3ルッツ+2トウ+2ループ、2アクセル+3トウ、3サルコウまでノーミス ジャンプの回転がシャープ。シットスピンの回転も速い。
まだ滑りは幼い感じがあるが、スパイラルやイーグルでコレオを構成、華やかにバレエの世界を表現した。この調子で伸びていってほしい
田中梓沙 SP:63.92(10) FS:104.53(19) 合計:168.45(18)
サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」♪ ワインカラー。手足が長く動きがしなやかで優雅 3ルッツ+3トウのルッツにq、3ループは回転不足、3フリップはアテンションでqなど下りたように見えるジャンプでかなりの減点
高さや流れはあるように見えたが、、、
ステップ中に曲が変わるところを自然にこなしていた。いろいろ惜しい
千葉百音 SP:64.41(9) FS:119.89(12) 合計:184.30(11)
「バタフライ・ラヴァーズ(梁山泊と祝英台)」♪ ピンク。春の息吹を感じるような始まり。3ループ、3ルッツ+3トウ(回転不足)、2アクセルを柔らかなジャンプを着氷していく。後半3フリップ+2トウ+2ループ、3ルッツも決める。
ステップの途中で曲がアップテンポからスローに変わるが、曲想をよく捉えて表現。コレオの途中でまさかの転倒 しかしめげずにスタイラスやスパイラルを見せて盛り上げた。
渡辺倫果 SP:65.07(8) FS:134.08(4) 合計:199.15(6)
「カルミナ・ブラーナ」♪ 赤、黒手袋。いきなり3アクセル そして3ルッツ+オイラー+3サルコウ、3ループと立て続けに決める。後半2アクセル+3トウ、3ルッツ、3フリップと予定通り、完璧
とても強い曲だが、小柄な体を目いっぱい動かして、強い音をみんな取っていくステップが凄い。最後までまったくパワーが落ちない
芯の強さを見せつけてくれた
住吉りをん SP:67.39(7) FS:121.77(11) 合計:189.16(8)
映画「ムーラン」♪ 赤に黒サッシュ。スピードに乗って滑り出し、4トウに挑んで転倒。3フリップでステップアウト、3フリップ+3トウもqがついた。それでも最後まで粘り強く跳んだ。
途中で曲が変わるところをうまく表現したステップはレベル4。この構成を完璧にできるようになるか 世界ジュニアでできるか。
<G4>
松生理乃 SP:72.31(6) FS:126.46(7) 合計:198.77(7)
「Moonlight」♪ ブルー系。3ルッツ、3フリップと転倒が続いて しかしその後は立て直してミスなく2アクセルや3ルッツ+3トウ+2トウ、3サルコウ+3トウ、3ループ+2トウを決めた。後半に3つのコンビネーションを跳べるのは偉い。
キャメル姿勢やI字姿勢のスピンもきれいで、スパイラルとスライディングのコレオも良かった。
三原舞依 SP:73.66(5) FS:133.20(5) 合計:206.86(4)
「Fairy Of The Forest」「Galaxy」♪ 薄緑。ピアノと連動するように3ルッツ+3トウ、2アクセル、3フリップときれいに決めていく。後半アクセルでパンク、咄嗟に1トウをつけたようで、これが2つ目のコンビネーションジャンプ。その後3ルッツ+3トウ+2トウ、3ループ+2トウも跳んだが、最後のは4つ目として2トウは無効、3ループは+REP扱いで基礎点が下がってしまった
スピンとステップはレベル4を揃え、美しいスパイラル連続のコレオで魅了してくれたが、なんとも勿体ないことに・・・。
みんな感動するような素晴らしい出来だっただけに、惜しい。
宮原知子 SP:73.76(4) FS:132.75(6) 合計:206.51(5)
プッチーニ「トスカ」♪ 赤のワンショルダー。3ルッツ+3トウ、2アクセル、3ループと下りていく。いつもよりジャンプに高さがあるように見える。後半3フリップ+2トウ+2ループ、2アクセル+3トウも入る。それでもqや回転不足が付いてきた
しかし、スパイラルだけでも見る価値がある。サイドウェイズ、ヘアカッター、ビールマンと全ての姿勢を丁寧に見せる、世界一のレイバックスピン。要素から要素への繋ぎも物語を紡ぐ。まさに大人の演技。
この人には、真似のできない何かがある
河辺愛菜 SP:74.27(3) FS:135.38(3) 合計:209.65(3)
「MIRACLE」♪ 紫とピンク。3アクセル、見事 3ルッツ+2トウ、後半2アクセル+3トウ+2トウ、3フリップ+3トウなど、多少こらえる着氷もあったが、大きなミスなく頑張った。
イナバウアーやイーグルも大きく見せる。全体に勢いがあった。
樋口新葉 SP:74.66(2) FS:147.12(2) 合計:221.78(2)
「ライオン・キング」♪ オレンジとゴールド。跪いて手で形を作る姿勢から。3アクセル、下りた!ステップアウトだけど。3ルッツ+3トウ、3サルコウと集中して跳ぶ。後半3ルッツ+3トウ、3ループ+2トウ+2ループ、3フリップまでパンクや転倒なし
少しゆっくりとしたパートから、一気にスピードを上げていく。ステップは生命の素晴らしさを祝うように躍動し、スライディングのコレオで最高潮
「自分に勝つ」の言葉通り、ついにやり遂げた (泣けた
)
坂本花織 SP:79.23(1) FS:154.83(1) 合計:234.06(1)
「No More Fight Left In Me 」「Tris」♪ 紫。いつもの雄大な2アクセルから、しっかりとスピードに乗って、全てのジャンプを完璧にコントロールする。3ルッツ、3フリップ+2トウ、3サルコウ、後半3フリップ+3トウ、2アクセル+3トウ+2トウ。
ブノワ・リショーの振付を、時間をかけて自分のものにした成果が出ている。ステップ、コレオの後に3ループを鮮やかに決めた。
3アクセルや4回転なしのプログラムとして、最高の作品 体も絞れて線がきれいになっている。本物の日本のエースに成長した。
結果、優勝は坂本花織、2位樋口新葉、3位河辺愛菜。4位三原舞依、5位宮原知子、6位渡辺倫果は大健闘。7位松生理乃、ジュニア勢最高が8位住吉りをん、続いて9位吉田陽菜、10位柴山歩、11位千葉百音。横井ゆは菜が12位。
北京五輪代表は、坂本花織が内定。樋口新葉もワールドスタンディングなどからほぼ確定と思われる。3人目が全日本の順位どおり河辺愛菜になるのか?
4位三原舞依は「ISUシーズンベストスコア上位3名」「シーズンワールドランキング上位3名」を満たし、「シーズンベストテクニカルスコア」では上位2名ではないが河辺愛菜より上。これをどう見るか。
明日の発表を待とう。
第90回全日本フィギュアスケート選手権(2021)、アイスダンス・フリーダンス(ジャッジスコア)。
高浪歩未/西山真瑚 RD:58.10(4) FD:90.19(3) 合計:148.29(3)
「パリのアメリカ人」♪ 黄色、水色。軽快なコレオステップから始まり、さっそく手拍子が起こる。全体に軽やかで、フリーレッグもよく合っている。ツイズル動作から入るスピン、素敵
カーブリフトの連続が得意技。伸び伸びとフレッシュに演じきった
平山姫里有/立野在 RD:58.93(3) FD:88.46(4) 合計:147.39(4)
「シェルブールの雨傘」♪ 水色、茶色。冒頭の動きから映画の世界に。ツイズルきれいに合わせ、男性イーグルのストレートラインリフトからローテ―ショナルリフトの連続で盛り上がる。歌詞と合わせているようなステップが美しい。
今できる最高の演技になったと思う。終わってしっかりハグ
村元哉中/高橋大輔 RD:63.35(2) FD:112.96(1) 合計:176.31(2)
「ラ・バヤデール」♪ 赤、濃緑。美しいポジションのスピンから。ストレートラインリフトで男性が片足滑走になるのも安定している。女性がイリュージョンの動きから入るステーショナリーリフトが素敵
バレエのパ・ド・ドゥそのもの!のコレオステップ、わくわく。スライディングの前に一瞬バタバタしたような ミスにはならず。
今日も緊張感があった気がする。というより、見ているほうが緊張していたせいか? なんだか楽しむより心配しながら見てしまった
小松原美里/小松原尊 RD:68.16(1) FD:110.01(2) 合計:178.17(1)
「SAYURI」♪ 赤みがかった紫。夏木マリの重みのあるナレーションが、一気に映画の世界に引き込む。太鼓の音がとても効果的なツイズル。ローテ―ショナルリフトの盛り上げ方がぐっと変わった。長すぎて1点減点はもったいなかったが コレオツイズルにシット姿勢が入ったのも面白い。
いろいろバージョンアップしていて、何より気迫があった ザ・日本を世界に見せたい。
キス&クライに並べたコーチのパネルが4人に増えて みんな見てくれたかな。
結果、優勝は小松原組、2位村元/高橋、3位高浪/西山、4位平山/立野となった。
五輪代表の発表は明日。正直、小松原組と村元/高橋組と、どちらが代表になるか、見当がつかない・・・
代表になった組以外にも、四大陸選手権やババリアンオープンなど、何かしら国際大会派遣があることを願う。
特に国内で練習している組に、練習の成果を発揮できるチャンスを与えてほしい