パコ・ロカの『皺』を読む。原著はフランスで出版されたマンガ。作者はスペイン人。表題の『皺』は養老院でのお話。よい。
息子夫婦に連れられ、老人ホームに入ることになった元銀行員のエミリオ。そこでは、たくさんの老人たちがそれぞれの「老い」を生きていた。やがて彼らは 「アルツハイマー」という残酷な現実と向き合うことになり……。大切な人の顔も、思い出さえも、なにもかもが失われていくなかで、人生最後の日々に人は何 を思うのか――。 まさに一本一本刻まれた「しわ」のように、さりげない描写を静かに積み重ね、2007年にフランスで刊行されるや話題となった表題作『皺』
というAmazonのお品書き。
『皺』のハイライト; tramposo! いか@さま、ね!
Paco Rocaのサイトより。 右、上記翻訳本(訳、小野耕世[72歳]、高木奈々[30歳])より。
■『皺』もよかったが、おいらは、一緒に載っている『灯台』もおもしろかった。スペイン内戦に巻き込まれた/飛びこんだ青年のお話。
作者のパコ・ロカは、1969年の生まれ。生まれたのはヴァレンシア。ヴァレンシアは地中海に面した街。バルセロナの近く。1969年の生まれということはまだフランコ政権時代ということになる。つまり、フランコ総統が死んで、ブルボン王朝の王政が復古する1975年の6年前だ(関連愚記事; ・スペイン行った、2009 ・マドリードにおいてフランコ総統を始め,多くの人々から温かく迎えられましたが, ・■今日スペイン国王が来日)。
作者のパコ・ロカは、スペイン内戦の話がすこしでも公然と語られ始めた頃に物心がつき始めたではないだろうか?でも、スペイン内戦の話について、パコ・ロカは直接身近な人に聞いている;
インタビューに答えて、
当時つきあっていたガールフレンドのおじいさんが、実際に内戦に参加していた人で、当時の話を私にしてくれたのです。16歳で内戦に参加、血気盛んな若者だったので、故郷も恋人も捨て、未来に希望をかけて戦争に言った。そのおじいさんの本来の夢は、機関車の運転士になることだったのですが、内戦のせいでその夢はついえ、すべてが変わってしまいました。彼は共和国派だったので、当然敗者になってしまい、フランスに逃げるしかなかったのですが、ほとんどの人が国境で捕まり、強制収容所に入れられてしまった。(続く) 上記、パコ・ロカ、『皺』に掲載の作家インタビューより。
おもしろいのが、何よりパコ・ロカがフランスに来て、活動していることである。
この『灯台』は、スペイン出奔青年の歴史を超えた物語にほかならない。
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パコ・ロカ、『灯台』を気に入った人にお勧め;
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