いくら口先男でも、枝野幸男官房長官の言い草は福島県民をあまりにも馬鹿にしている。今になっても、福島第一原発から20キロから30キロの圏内の住民は安全だと言っているからだ。自主退避を促すのは、物質が届きにくくなっているからだ、とのすり替えで、責任逃れをしている。しかし、嘘はすぐ発覚するものだ。つい先ほど国の原子力安全委員会は、事態収拾の見込みが立たないこともあり、早目の自主退避を呼びかけた。屋内退避の段階ではなくなっているからだろう。その不手際を追及されたくないので、枝野は、ことここにいたっても、弁解に終始しているのである。去る21日の「草莽隊日記」のなかで、私も屋内退避の住民の窮状を訴えた。そのときから4日間も経っているのに、民主党政権はどうして手を打たなかったのだろう。その時点でもラジオ福島は、このままでは餓死する人もでかねないとまで報道していた。近くのスーパーは閉まっているし、ガソリンが無くて食糧を買出しにも行けず、病人が出ても救急車も来てくれない。これまでそうした状態を放置しておいたくせに、それぞれが自主的に逃げろというのだから、関係市町村が怒るのもあたりまえだ。枝野ではもはや国民は信用しない。もっと誠実な人間が民主党にはいないのだろうか。国民の多くは、現実がどうであるかを誠実に語ってくれる人間の話を聞きたいのである。
自分たちのいい加減な報道を今さら修正されても、困ってしまうのは国民である。大本営発表を繰り返してきたNHKが、今日あたりからまるっきり論調を変えてきた。「事態の収束に向けた道筋は一向に見えていません」と悲観論を述べており、東電福島第一原発のトラブルが解消される見通しがない、と伝えているからだ。国民の生命に関する事故であるにもかわらず、民主党政権の広報機関と化していた責任は、一体どうとるつもりなのだろう。日々放射性物質が撒き散らされ、それが風に乗って拡散している状態が今後も続くならば、福島県がばかりでなく、東日本全体が致命的なダメージを受けるのは必至だ。当初から私が主張しているように、米軍へ協力を要請して、一日も早い解決を目指すべきであったのだ。今後、民主党政権は、長期間になることを前提として、避難勧告の拡大や、風向きを考慮した放射性物質拡散のシュミレーションを国民に公表し、被害を最小限に押さえる努力をすべきだろう。マスコミはマスコミで、ジャーナリストとして、真実を国民に知らせるべきだろう。そうでなくても国民は、現在の政権ばかりでなく、テレビ局に対しても失望しており、何を信じてよいか分からなくなっているわけだから。