韓国での朴槿恵大統領の不正を糾弾するデモは、日に日にエスカレートしてきている。このままでは、北朝鮮の支配に甘んじるか、軍部の独裁のいずれであって、自由と民主主義は踏みにじられるだろう。後悔先に立たずである。展望もないままにデモ騒ぎが続くようでは、民主国家の名に値しないのである▼朴槿恵は検察の意向に応じないとみられるが、大統領が在職中に裁かれるというのは前代未聞ではないか。一国の最高権力者、一応は民主的な選挙によって選ばれた人間を実力行使で引きずりおろすのは、もはや革命以外の何物でもない▼法を破る力について論じたのは、尾高朝雄やカール・シュミットであった。尾高は『法の究極に在るもの』において「革命権と国家緊急権」について書いている。法を破ることは時として正当化されるのであり、新たな法が作り出される場合があるからだ▼尾高の解釈によれば、革命権の行使は被支配者による支配機構の急激な変革であり、国家緊急権は国家の存立を擁護するために、緊急事態に関しては法を破る権力が法として発動しうるという立場である。どちらを今の韓国が選ぶにしても、大動乱は避けられないだろう。日本にとっても対岸の火事ではなく、国民が時代の変革期にどこまで冷静に判断できるかなのである。国論が真っ二つに分裂することだけは断じて避けなくてはならない。
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