12月に入ると小林秀雄の『本居宣長』です。本物かどうかを見分けることの大切さや、常識の意味を教えてくれたのは小林でした。その影響からドストエフスキーの小説や『源氏物語』を読むようになりました。
小林の書く物は、若いときにはスラスラと理解できた気がしました。あたりまえのことが書いてあるように思えたからです。しかし、老いた今となっては、奥が深く、断定的に語るので、眼光紙背に徹する読み方を心掛けるようになりました。あたりまえのことを言っているようで、なぜそうなるかまで言及をしているからです。
これからどれだけの本を読めるかとなると、心もとない限りですが、ドストエフスキーの作品を再読し、『源氏物語』も現代文ではなく、原文にあたりたいと思っています。『三国志』は劉備というよりも、曹操の方に関心が向いています。
食いかじっているマルクスは、仲正昌樹の『マルクス入門講義』はつい最近読破して感銘を受けました。初期マルクスの思想を究明し、よく話題になる「類的存在」を「類的本質」と訳したりで、刺激的な内容であったからです。
的を絞れないままに、好きな本を手に取って楽しむしかありません。終活で本を整理するよりも、たいした蔵書ではなくても、本の方から語りかけてきますから、それに応じるしかないからです。