顔認証技術で知られる中国企業センスタイムは、ウイグル人への人権弾圧の問題や安全保障上の観点から、アメリカや欧州で進出を阻まれているが、危機意識が乏しい日本では野放し状態である。
中国には習近平が2017年に制定した国家情報法がある。その命令に中国企業は従わなくてはならないのである。それを知っていながら、何ら国が手を打たないのは、危機意識がないか、さもなければ、サイレント・インベーションが進行してしまっているからではないだろうか。
国家情報法第7条においては「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない」と明記している。
また、法的責任としては、同第28条で「この法律の規定に違反して、国家情報活動機構及びその活動要員が法に従って行う情報活動を妨害した場合は、国家情報活動機構が関係機関に処分を求め、又は、国家安全機関若しくは公安機関が警告若しくは 15 日以下の拘留に処する。犯罪を構成するときは、法に従い刑事責任を追及する」と明確に述べているのだ。
中国共産党の支配下にあるのが中国企業であり、協力を拒めば、犯罪者として処罰されることになるのだ。それほど酷い法律なのである。
日本人の個人情報が中国に筒抜けになることを、あらかじめ想定して置かなくてはならない。武力で攻められる以前に、我が国はお手上げ状態になってしまう危険性がある。
顔認証という技術そのものの危険性も問題視しなくてはならない。まさしくそれはベンサムの一望監視装置の現代版なのである。個人の思想信条が白日の下に晒される。全体主義を成立させる道具として機能し、監視社会が隅々まで及ぶのである。
センスタイムを政府調達の仕事から外すのは当然で、それに各自治体も歩調を合わせなくてはならない。できることから手を付けなくてはならない。もはや検討などしているときではないのである。