草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

歴史を作るのは識者やインテリではない

2024年01月07日 | 思想家
 右であろうと左であろうと、熱狂的に政治にかかわるのは、賢明な人たちではない。インテリはそれらの人たちを軽蔑するが、エリック・ホッファーに言わせれば、歴史がどのように動いてきたかを知らないからである。
 ホッファーは「情熱的な精神状態」(永井陽之助訳・現代の思想『政治的人間』に収録)において、そのことについて触れており、現在の日本の混乱状態を理解する上で、重要な手がかりを与えてくれる。
「歴史は幼児のもつ諸性質—落着きのなさ、感じやすさ、ふりをする能力、仮借なさ、独善性をもつ人びとによって作られる。つまり歴史は、おもちゃに熱中する人たちによって伝えられる、すべての指導者は、かれらに従う人たちを幼児に変えようとつとめる」
 博識で何でも知っているよう人たちは、かえってそれが邪魔になって、時代を切り拓くことはできず、無知であるからこそ、未来に一歩踏み出すことになるのだ。
 昨今のネットでの混乱ぶりをみていると、急速に高まる日本人の危機意識に水を差す保守派が一時的に勢いを増しているが、すでに大きな流れができており、誰もそれに逆らうことはできないだろう。
 明治維新にしても、薩長の多くは、幕府があっけなく倒れてしまうとは思ってもいなかった。一部の過激な人間たちに手を焼いていたのだ。しかし、その過激な人間たちが歴史を作ったのである。これからどうなるかはまったく見当が付かない。ただ一つ言えることは、幼児じみた人たちを馬鹿にできないということである。したり顔に解説する識者は、勢いを理解できず時代に取り残されてしまうのである。

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