ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.1.13 ハーセプチン125回目、ナベルビン7クール2回目、ゾメタ47回目

2011-01-13 21:19:31 | 治療日記
 今朝、夫は朝の時間節約のために新幹線で(!)重役出勤。なんと終点の東京駅まで僅か2駅20分のこの駅から乗るビジネスマンがかなり沢山いて、ようやく3人席の真ん中に座れた、というメールがきた。
 一方、私は一足遅くホテルを後にしたが、16階の部屋からはMM21地区が見え、雪化粧した富士山までとても良く見られて、ホテルの部屋の窓の角度の関係で病院は見えず、でちょっぴり得をした気分だった。

 そして何よりチェックアウトして徒歩10分で病院に入れたのでとても楽だった。今日は診察前レントゲンだったが、殆ど待ち時間なく、すぐに撮影して頂き、内科に移動できた。院内の改装が進んでおり、腫瘍内科の受付と診察室ブースが1つ横にずれていた。予約より5分ほど早く受付番号が電光掲示板に表示され、中廊下に入ると、先生がお顔をお出しになって呼ばれ、すぐに診察室へ入った。

 先週の状況をご報告。ロキソニンが功を奏して発熱はないが、やはりお腹の気持ち悪さと火照り、不眠が気になること、週末以降、速歩きをすると息切れや胸部の圧痛と鈍痛があったこと、ここ数日は早朝覚醒があることをお話した。先生がおっしゃるには火照りと不眠はステロイドのせいで、他の吐き気止め(セロトニン拮抗薬)では便秘が酷くなるし、薬価も高い。吐き気止めをやめてみてもいいが、いったん気持ちが悪くなってしまうと辛いので、今の少量のステロイドを吐き気止めにするのが良いのでは、とのこと。「早朝覚醒については、歳のせいもあるのでしょうか・・・」と言うと、私より2つ年上の先生はお茶目にも「私もそうなのでわかります。」と。
 レントゲンの結果は、タキソテールでも消えなかった右と左の影の動向が一番問題なのだが、左肺にある太い結節様の影が前々回、前回、今回と比較すると、大分スリムになってきている。また右肺にある白くはっきりとした楕円の影も、今回は薄くなって殆ど判らない感じになっている。嬉しい。
 診察室で検温すると7度2分だったが、今日は予定通りゾメタも含めての6本の点滴フルコース。次回は1月26日に白血球のみチェックして投与の予定だ。

 診察室の隣奥になった処置室に入ると、すっかり改装が進み、広々としていた。ベッドと点滴椅子が19になり、ほぼ倍だ。窓の外が見えるように点滴椅子が並んでいてとても嬉しい。なんと今日はまだ入室が9時ちょっと過ぎだったので1番乗り。
 そしてこれまで痛みが酷かったポートに刺す翼状針の、新しいタイプのものが入ったという。「まだ試行状態ですが、やってみていいですか。」と看護師さんがおっしゃるので、「是非」とお願いした。結果、最初のチクリだけはあったが、いつものようにグリグリと押されながら刺されていく痛みが殆どなく、看護師さんに「これなら大丈夫です。」とお話した。
薬が届くまで1時間ほど待って、10時過ぎに点滴無事スタート。

 今日は3冊読んだ。
 1冊目は島田裕巳さんの「人はひとりで死ぬ 『無縁社会』を生きるために」(NHK出版新書)。
「無縁社会」の衝撃についてはこのブログでもちょっと書いたことがあったが、「無縁化はなぜ進んだのか?そして、無縁社会に希望はあるのか?『葬式は、いらない』の島田裕巳による『無縁社会論』、決定版!」という帯だ。確かに高度経済成長後、むら社会、有縁社会からの脱出劇があり、無縁社会への移行は必然だったのだと思う。「他者との強いつながりの中で自由に生きることが理想なのかもしれないが、それは容易には実現できない。そして無縁社会の到来に衝撃を受けた人でも、では有縁社会に戻りたいか、といえばそうではないだろう。」ということにも素直に頷ける。無縁死に向かう「おひとりさま」、お墓の話など興味深く読んだ。そして、全ての死は無縁死であり、人は最期は一人で死ぬ、だからこそ十分に生きるためにはどうするのか、という展開にも納得できた。

 2冊目は谷村志穂さんの「雪になる」(新潮文庫)。
「『海猫』『余命』で絶賛を浴びた著者が描く、切なくて甘美な六色の恋愛模様。」という裏表紙。
(『海猫』『余命』は両方とも読んだが、後者は女性外科医・百田滴の命をかけた選択―新しい命に未来を託すのか、できる限りの延命という道を選ぶのか。妊娠と乳がん再発を知った女性医師の愛と生を描くストーリーで、映画化もされたと記憶している。)
「あなたに抱きしめてほしい。この街は、寒すぎるから。夜空に願う、六つの恋」という帯のとおり。表題作「雪になる」と最後の「三つ葉」が印象に残った。

 3冊目は高岡望さんの「日本はスウェーデンになるべきか」(PHP新書)。
スウェーデン公使の緊急提言、アメリカもギリシャも危ない!では、日本はどうする?」と帯にあったが、スウェーデン贔屓の私としては、もちろん日本はスウェーデンにはなりえないと思うけれど、16年前に滞在したことを懐かしく思い出しながら、では今はどうなっているの?と、とてもリアルに想像しながら読むことが出来て幸せな2時間だった。スウェーデン人の本質とする『自立した強い個人、規則に基づく組織力、透明性、連帯』の4つのポイントには頷ける。その国民性として『清潔、能率的、決まりを守り、勤勉、中庸を好み、横並び意識が強く、上下関係に敏感、内気で謝意』というと、やはり日本人は彼らに対して親近感が湧いてくる、というのも確かだろう。

 6本の点滴が終了したのは2時少し前。針を抜くときの衝撃も殆どなく、とても有り難かった。次回からは針刺も抜針もリラックスできそうだ。
 会計をし、本日の病院滞在時間は6時間弱。院外薬局でロキソニンを出してもらっても、駅ビルの3時までのランチタイムに滑り込むことが出来た。
 そして今日は本当に久しぶりに明るいうちに帰宅することが出来た。

 明日の夕方には息子がスキー教室から帰ってくる。気がつけばあっという間に1月も半ばだ。こうして毎年のように「1月は行ってしまい、2月は逃げてしまい、3月は去ってしまう」のか・・・、と今から焦ってみても仕方ないけれど。
コメント (3)
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