あけぼの会の講演等でお世話になっており、ご自身で「オンコロジストの独り言」ブログを書いておられる渡辺亨先生が、昨年11月から朝日新聞の静岡版に「がん内科医の独り言」というコラムを開始されている。
2011.1.28の記事を以下に転載する。
※ ※ ※ ※ ※ ※(転 載 開 始)
免疫力 「抗がん剤で低下」心配無用
抗がん剤治療をすると免疫力が低下する、と言われますが、本当でしょうか。
そもそも免疫力とはなんでしょうか。免疫とは、疫(病気)を免れるという意味で、感染症などの病気の原因となる細菌やウイルスなどから体を守る防御力を持っている状態を指します。
免疫の働きを担当する白血球は血球成分で、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球に分類されます。好中球は、体内に入り込んだ細菌をパクパクと食べ退治する働きがありますが、抗がん剤治療で一時的に好中球数が減るため、点滴後1~2週目に38~39度の熱が出たり、肺炎などの感染症にかかることがあります。そのため多くの病院では、抗がん剤点滴のたびに血液検査で好中球数を調べ、減っていると点滴をキャンセルすることがあります。
しかし、発熱の頻度は、抗がん剤やがんの種類によって異なりますが、それほど多くはなく、心配することはないのです。例えば、アドリアマイシンとシクロフォスファミドという2種類の抗がん剤を組み合わせたAC療法を、乳がん手術前や手術後の体調のよい患者さんに行う場合の発熱頻度は4%の低さです。
また、点滴当日の好中球数が減っているかいないかで1~2週先に発熱するかどうかを予測できないため、調べる意味がないことが分かってきました。発熱を予測できない以上、熱が出た時の対応をしっかり準備しておけばよいのです。また、生活も普通にしていればよいのです。
ところが、免疫力が低下しているという言葉におびえ、抗がん剤治療中の患者さんは人ごみに出てはいけない、旅行に行ってはいけない、生ものは食べてはいけない、マスクをしなくてはいけないなどと、医療者も無意味な禁止事項を患者さんに求め過ぎます。がんになっても、抗がん剤治療中でも、普通の生活を送ること。これが一番大事です。免疫力なんていう言葉は、忘れてしまいましょう。(浜松オンコロジーセンター・渡辺亨)
(転 載 終 了)※ ※ ※ ※ ※ ※
何とも力強いお言葉である。
確かに、免疫力が低下していることを理由にあれもこれも我慢していたら、本当に治療だけのための生活、楽しみのないストレスフルな毎日になってしまう。特にエンドレスの再発治療は“終わり”がないから、これからずーっと、我慢、ひたすら我慢、となってしまう。そして、極言すれば職場などは雑菌の宝庫のようなところでもあるので、出勤もままならない、という話になる。
体調に常に気を配りながらもなるべく普通に生活して、やりたいことは必要以上に我慢せずにストレスをためないようにやっていく。もうすぐ乳がん7年生、再発4年生になる私がこれまで様々な治療を経験してきて思うに、このスタンスこそ長いこと病気と共存する一番の方策のように思う。もちろんどうしてもダメな時には必要以上に無理してはいけないのは当然だが・・・。
早いものでナベルビンも8クール目に入った。
当初は規定量でも骨髄抑制が強く出てしまい、発熱したり、好中球不足で予定通り投与できなかったり・・・、とトラブル続きで焦ったこともあったが、今は8割の量で2投1休がコンスタントに出来るようになり、治療が軌道に乗っている。
各クールの初回には白血球数を確認するが、2回目には特にチェックせずにそのまま投与、というパターンになっている。
これまでの結果から、1回投与した後よりもその1週間後に続けて投与した後にさらに白血球が下がることが判っているので、今では2回目の投与前には確認はしない。そして、それよりもっと下がっているであろう3週目は、病院に行ってもG-CSFの注射を打てるわけもないし、それよりも、病院内で感染してしまったり、白血球チェックをして「こんなに低いなんて!」と怖がりすぎることを避けるために、先生はお休みにしてくださっているのだろうと思っている。
その次の週までに、投与できる程度に白血球が回復していれば問題ないし、その間の数値は知らなくても、だるければ免疫力が下がっているのだな、と自覚して無理せず注意して過ごせばよい。
確かに1,2週間先に発熱するかどうかを正確には予測することはできない。が、12月からは発熱予防のロキソニン服用のおかげもあって、対策はしっかり功を奏している。
そして、お腹の調子の悪さなりだるさなりはあるけれど、通院時以外はフルタイムで仕事も続けることができている。
体調をなんとかコントロールしながら、薬がしっかり奏功してQOLを維持できていることが嬉しい。
昨日は帰宅すると、ネットで注文していた「若年性乳がんになっちゃった!ペコの闘病日記」がようやく届いていた。
だるさと気持ち悪さがあったにもかかわらず、帰宅早々息子とバトル。それが伝染して夫もご機嫌悪く、食後一人でぷいっと外出してしまった。なんだかがっくり疲れてしまったが、私は一気にペコさんの本を読んだ。
ペコさんの闘病がいかに厳しいものだったのか、そして本当に何度も奇跡のような物語が起こっていたことを改めて思った。ペコさんの言葉を借りれば、「何でこの世に治らない病気なんてものがあるんだろう。それでも生きたい、生きようと願う人にはおまけがあるのかもしれません。諦めたら、そこで終わってしまうから。希望を捨てず、最期まで闘って生きたいと思います。」
最期まで前向きに頑張りぬいたペコさんのご冥福をここに改めて心よりお祈りしたい。初七日は無事終わったのだろうか・・・。合掌。
今日は朝一に予約していた美容院に3人揃って出かけた。私はオプションでヘッドスパをお願いして、重かった頭がかなり軽くなった。髪の毛はあいかわらずてっぺんが薄く細いので、なかなか形にならない。それでもトリートメントと頭皮のマッサージをしっかりやってもらい、ボリュームも出て、浮腫みも硬さもとれてすっきりリフレッシュした。
2011.1.28の記事を以下に転載する。
※ ※ ※ ※ ※ ※(転 載 開 始)
免疫力 「抗がん剤で低下」心配無用
抗がん剤治療をすると免疫力が低下する、と言われますが、本当でしょうか。
そもそも免疫力とはなんでしょうか。免疫とは、疫(病気)を免れるという意味で、感染症などの病気の原因となる細菌やウイルスなどから体を守る防御力を持っている状態を指します。
免疫の働きを担当する白血球は血球成分で、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球に分類されます。好中球は、体内に入り込んだ細菌をパクパクと食べ退治する働きがありますが、抗がん剤治療で一時的に好中球数が減るため、点滴後1~2週目に38~39度の熱が出たり、肺炎などの感染症にかかることがあります。そのため多くの病院では、抗がん剤点滴のたびに血液検査で好中球数を調べ、減っていると点滴をキャンセルすることがあります。
しかし、発熱の頻度は、抗がん剤やがんの種類によって異なりますが、それほど多くはなく、心配することはないのです。例えば、アドリアマイシンとシクロフォスファミドという2種類の抗がん剤を組み合わせたAC療法を、乳がん手術前や手術後の体調のよい患者さんに行う場合の発熱頻度は4%の低さです。
また、点滴当日の好中球数が減っているかいないかで1~2週先に発熱するかどうかを予測できないため、調べる意味がないことが分かってきました。発熱を予測できない以上、熱が出た時の対応をしっかり準備しておけばよいのです。また、生活も普通にしていればよいのです。
ところが、免疫力が低下しているという言葉におびえ、抗がん剤治療中の患者さんは人ごみに出てはいけない、旅行に行ってはいけない、生ものは食べてはいけない、マスクをしなくてはいけないなどと、医療者も無意味な禁止事項を患者さんに求め過ぎます。がんになっても、抗がん剤治療中でも、普通の生活を送ること。これが一番大事です。免疫力なんていう言葉は、忘れてしまいましょう。(浜松オンコロジーセンター・渡辺亨)
(転 載 終 了)※ ※ ※ ※ ※ ※
何とも力強いお言葉である。
確かに、免疫力が低下していることを理由にあれもこれも我慢していたら、本当に治療だけのための生活、楽しみのないストレスフルな毎日になってしまう。特にエンドレスの再発治療は“終わり”がないから、これからずーっと、我慢、ひたすら我慢、となってしまう。そして、極言すれば職場などは雑菌の宝庫のようなところでもあるので、出勤もままならない、という話になる。
体調に常に気を配りながらもなるべく普通に生活して、やりたいことは必要以上に我慢せずにストレスをためないようにやっていく。もうすぐ乳がん7年生、再発4年生になる私がこれまで様々な治療を経験してきて思うに、このスタンスこそ長いこと病気と共存する一番の方策のように思う。もちろんどうしてもダメな時には必要以上に無理してはいけないのは当然だが・・・。
早いものでナベルビンも8クール目に入った。
当初は規定量でも骨髄抑制が強く出てしまい、発熱したり、好中球不足で予定通り投与できなかったり・・・、とトラブル続きで焦ったこともあったが、今は8割の量で2投1休がコンスタントに出来るようになり、治療が軌道に乗っている。
各クールの初回には白血球数を確認するが、2回目には特にチェックせずにそのまま投与、というパターンになっている。
これまでの結果から、1回投与した後よりもその1週間後に続けて投与した後にさらに白血球が下がることが判っているので、今では2回目の投与前には確認はしない。そして、それよりもっと下がっているであろう3週目は、病院に行ってもG-CSFの注射を打てるわけもないし、それよりも、病院内で感染してしまったり、白血球チェックをして「こんなに低いなんて!」と怖がりすぎることを避けるために、先生はお休みにしてくださっているのだろうと思っている。
その次の週までに、投与できる程度に白血球が回復していれば問題ないし、その間の数値は知らなくても、だるければ免疫力が下がっているのだな、と自覚して無理せず注意して過ごせばよい。
確かに1,2週間先に発熱するかどうかを正確には予測することはできない。が、12月からは発熱予防のロキソニン服用のおかげもあって、対策はしっかり功を奏している。
そして、お腹の調子の悪さなりだるさなりはあるけれど、通院時以外はフルタイムで仕事も続けることができている。
体調をなんとかコントロールしながら、薬がしっかり奏功してQOLを維持できていることが嬉しい。
昨日は帰宅すると、ネットで注文していた「若年性乳がんになっちゃった!ペコの闘病日記」がようやく届いていた。
だるさと気持ち悪さがあったにもかかわらず、帰宅早々息子とバトル。それが伝染して夫もご機嫌悪く、食後一人でぷいっと外出してしまった。なんだかがっくり疲れてしまったが、私は一気にペコさんの本を読んだ。
ペコさんの闘病がいかに厳しいものだったのか、そして本当に何度も奇跡のような物語が起こっていたことを改めて思った。ペコさんの言葉を借りれば、「何でこの世に治らない病気なんてものがあるんだろう。それでも生きたい、生きようと願う人にはおまけがあるのかもしれません。諦めたら、そこで終わってしまうから。希望を捨てず、最期まで闘って生きたいと思います。」
最期まで前向きに頑張りぬいたペコさんのご冥福をここに改めて心よりお祈りしたい。初七日は無事終わったのだろうか・・・。合掌。
今日は朝一に予約していた美容院に3人揃って出かけた。私はオプションでヘッドスパをお願いして、重かった頭がかなり軽くなった。髪の毛はあいかわらずてっぺんが薄く細いので、なかなか形にならない。それでもトリートメントと頭皮のマッサージをしっかりやってもらい、ボリュームも出て、浮腫みも硬さもとれてすっきりリフレッシュした。