ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.1.18  恵まれているのだから

2011-01-18 18:56:45 | 日記
 先日ある方とお話したときのこと。

 その方とは同い年なのだが、20歳で結婚され、21歳でお母さんになっているので、先日結婚されたお嬢さんと既に社会人の坊ちゃんがおられる。そのお嬢さんの配偶者のご家族=ご両親、お姉様=が皆がん体験者、だそうだ。
 お母様は10数年前に乳がんを患い、今度は大腸にも見つかった、とのこと。転移なのか原発なのかお話から詳しいことはわからなかったけれど、とりあえずもう切るのは嫌、ということで積極的な治療はお休みしているそうだ。そのご家族は地方にお住まいだが、治療のために都内のがんセンターに通院するのに、ホテル住まいよりも・・・と、がんセンターと同じ区内にマンションを買って、通院時の滞在に使っておられたらしい。そのマンションをしばらく使っていないのでということで、このたび結婚した2人の新居にされていたそうだが、結婚後、今度はお父様に喉頭がんが見つかり、治療が開始されたという。

 毎週の通院、地方から新幹線で通い続けるのは体力的にも経済的にもとても続かない、ということで、新婚家庭にしばし滞在することになっているようだ。「新婚の新居にいきなり通院治療で大変なお父様が毎週お見えになる、というのではお嬢さんも大変でしょう。」とお話した。その方は「あくまでそのマンションは本来の目的が通院時の宿なのだから、早く明け渡しなさい、と言っているのですよ。」とおっしゃっていた。

 本当に厳しいな、と思う。
 そして自分は恵まれていることを感謝しなければいけない、と思う。とにかく自宅から普通に十分通える距離で納得して治療が続けられているのだから。通院の治療費だけでなく、新幹線や飛行機で全国各地から通院してくる患者が沢山いる。交通費、宿泊費・・・病気にならなければ使わなくて良かったはずのお金がどんどん羽根を生えて飛んでいくだろう。

 私が通っている病院でも、点滴中漏れ聞こえる話の端々から、朝5時起きで新幹線で通っている・・・ということがわかる方もおられる。精神的にも経済的にも厳しい病気だ。そして、切ったら終わり、ではない。卒業までに概ね5年、特に乳がんは10年経ってもまだ卒業させてはもらえない。それほど長いこと経過観察が必要で、その間ずっと再発の恐怖に怯えなければならない、いや、怯えないまでもどこかでいつもひっかかっていて、嬉しいことにも心の底から喜べない自分に気づくことがあるのだから。途中、心が折れてしまう人がおられることももっともだ、と頷ける。

 でも、気持ちは持ちようだ。
 とにかく、再発転移してしまったのだから、もう再発したら・・・と怯えることはない。悪い細胞といっても所詮自分の細胞。なんとかうまく寝かしつけてつきあっていくしかない。なるべく長く今の状況が保てるように。粘って、粘って新薬を待って(お金がかかることは申し訳ないけれど)命をつないでいかなければ・・・、という気力だけは持ち続けたいと思う。
 そう、私の売りは細く長く・・・粘り強い(しつこい?)性格、だった。

 ようやくお腹の調子が落ち着き、食欲も戻ってきて、お昼は友人と語らいながらしっかり取ることができた。やはり食べなければ力も出ないし、気持ちも前向きにならない、とつくづく思う。
コメント (2)
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