昨夜は何やら眠くて、眠くて、早々に入浴してベッドに入った。
そして今朝、目覚ましとともに起床。いいお天気である。朝の瞑想ヨーガを終え、洗濯機を廻して、息子を起こし、3人で朝食を摂る。
息子を送り出し、仕上がった洗濯物を干す。毬藻の水替え、花の水切り、ごみの始末も終え、タクシーを呼んでさて、5年ぶりの京都行きである。
ちょうど桜の季節、京都に暮らすように少し長めに滞在出来たら、ということで半年前からホテルを予約した。6泊の旅だ。今年はかなり桜が早かったので、残念ながら既にどこも満開を過ぎているのはちょっと誤算だったけれど・・・。
旅を計画した当時、息子が転職で関西から引き上げることになるとも、入社直後の研修の最っ只中になるともゆめゆめ思わなかった。
それでも、今回を逃すと体力的にこんなに長い旅が出来るとも思えないし、息子には悪いけれど、キャンセルするのはもったいない、と決行することにした。
思えば、息子が学生だった頃は、なかなか帰省しなかったので、業を煮やしてこちらから何度も訪れた。卒業が怪しくなってからは、夫と口には出さずとも、いつもどこかに小骨がひっかかっている感じで古都を心底楽しむことは出来なかった。
今は、とにもかくにも息子が卒業し就職していることで、憂いなく京都の春を楽しむことができそうだ。ということで、今回の旅は、名付けて、「そうだ 京都、センチメンタルジャーニーの旅、行こう。」である。
もう長くお目にかかっていないお友達との再会も果たせるかと考えたが、あいにく2人が2人とも親御さんの介護で、今回は残念ながら、というお答えだった。息子が関西在住ならば、今後もまたこちらに来る機会があっただろうが、これまでのように関西を頻繁に訪れることはなくなるだろう。残念だけれど・・・。
新幹線乗換駅に到着すると、ピンク一色のポスターが目に留まる。「そうだ、京都、行こう。」と「2023 Spring」 の字のみのポスター。小さく「旅と花で忙しい人生もアリじゃないですか、せめて春ぐらい。」とある。
はい、私達も京都、行きます!、と予定通りの新幹線に乗車。先月広島に出かけた時と同じ時刻の広島行である。
車内のお供は、森絵都さんの「出来ない相談」(ちくま文庫)。
森さんの作品を読むのは久しぶり。帯には「あなたはよくても/あいつはよくても/誰が良くても イヤなものって、イヤなのだ。日常の中の小さな『NO』で人生は変わる?38篇+書き下ろし2篇イコール極上の小説集!」とある。最初から面白くて、ニヤニヤしながら頁を繰る手が止まらなかった。
定刻通り、お昼に京都到着。1月に奈良を訪れた時は、乗り換えのため、駅ナカでお昼を頂いただけだった。今日も相変わらず混んでいる。そして何より外国人観光客が多いことと言ったらない。もうコロナ前にすっかり戻ったかのような古都である。
まずは観光案内所で地下鉄バス1日券や地図をゲットし、駅ビルレストラン街へGO。どこも既に列が出来ているので、並んでいない京都パスタのお店に入った。
夫の好みのハーフ&ハーフを2つチョイスし、4種類を味見し、しっかりデザートにあんみつやプリンを頂いてお腹一杯。気づけば到着してから1時間半近くが過ぎていた。朝がひんやり寒かったので、ちょっと厚着をしてきたら、いきなり気温が上がっている。日差しが強い。観光バスのパンフレットをもらったり、あれやこれや。
地下鉄に乗ってホテルに荷物を預けに寄る頃には、あと少しでチェックイン出来るけれど・・・、の時間になってしまった。ひとまず身軽になって、今日の最初の目的地は、夫のリクエストで大徳寺である。
地下鉄とバスを乗り継いで、無事到着。ここにも白人でノーマスクの外国人観光客が多くて驚く。帰りに大徳寺納豆を買おうとか、一休さんのお寺だよ、とか夫は張り切っている。
最初は、洛北紫野の苔寺、名勝庭園、大徳寺塔頭龍源院である。大徳寺塔頭の中で最古の寺は、室町時代の禅宗方丈建築の遺構を完全にとどめている唯一のもの。靴を脱いで上がるとすぐに日本最古の種子島銃や、秀吉と家康が対局したという碁盤が飾ってある。
庭園の石庭はいわゆる枯山水だけれど、夫はこういうわびさびはわからないなぁと宣う。じゃあなんで来たかったのかしら。縁側に座って、ぼーっと見ていると時間はどんどん過ぎていく。吹き抜ける風が心地よい。
続いて国宝、特別名勝大仙院。ここも枯山水のオンパレード。外国人観光客の方が、英文のパネルを見ながら、長いこと石庭を眺めている。狩野元信・之信兄弟の襖絵等室町期の障壁画名作も眺め、お抹茶とこちらのオリジナルの瓢箪の形をしたお菓子を頂く。
その場で立てて頂いた抹茶は三福茶といい、太閤が飲んだら3つの良いことがあったそうな。
本坊伽藍の特別公開はあいにく4月末から。今は改修中だったけれど、お参りだけは済ませることが叶った。そのほかの特別公開はあいにく時間切れで観覧できず。お寺を後にして門前のお店を冷やかしたけれど、買う予定だった大徳寺納豆は試食の結果、夫の口には合わなかったようで、買い求めにはならなかった。
さて、次は息子が合唱の舞台に立ったコンサートホール方面である。再びバスに乗って地下鉄を乗り継ぐ。北山駅を降りると、府立植物園がある。さすがにもう夕方、5時近い。閉園時間だと思いきや、桜のライトアップで20時まで開園という。では、と入園する。それがもう大当たりだった。
入ってすぐの球根ガーデンでは色とりどりの大輪のチューリップが迎えてくれる。結婚式なのか外国人カップルがポーズを決めて写真撮影をしている。そして梅林を過ぎると、桜林。さすがにソメイヨシノはもう葉桜だったけれど、八重芝枝垂桜等の美しかったこと。まさかこんなに桜を愉しめるとは期待していなかったので、大満足。
大正13年に開園した日本最古の公立総合植物園の名に恥じない素晴らしさである。桜は500本を数えるという。残念ながら温室はもうクローズだったし、園内のカフェも閉まっていたので、自販機でカフェオレを買ってテラス席で飲んだ。緑と風が気持ちよく、人が少なく、すっかりリフレッシュした。
バラ園まで足を延ばしたもののバラはまだ蕾にもなっていなくて、背景の比叡山と写真を撮るに留める。辺りが暮れなずんできて、シャクナゲ園も愛でながらライトアップの時間に再び桜林に戻る。ベンチに座って日が落ちるのを待っている方も多く見受けられる。
暮れなずむ空を見上げると、飛行機雲がそれは美しく青空を真っ二つにし、桜の木の上にはまん丸いお月様も見える。
日が落ちるにつれて、ぼんぼりの灯りに照らされた枝垂桜が妖艶な感じで実に美しい。花があらかた散ってしまったソメイヨシノも、ライトに照らされて綺麗なピンク色に変わっている。まだまだ観ていたかったけれど、夕食も摂らなければならないし、と後ろ髪をひかれつつ退園した。
夕食には、前回訪れたブランジェリーレストランに行きたかったのだけれど、クローズが早く、別の洋食屋さんに並ぶ。予約をしていなかったので結局40分近く待つことになったが、奥の広い席に通され、プリフィックスディナーは前菜もメインも色々選べて美味だった。デザートのケーキもハーブティも美味しく頂いた。夫は白ワインを飲んでご機嫌。
帰りに、かつて訪れた京都コンサートホールにも寄って、しっかり写真撮影を済ませ、再び地下鉄でホテルまで戻った。
チェックイン手続きを済ませ、部屋に入り、宅配で届いた荷物とともに荷ほどきを済ませる。本日の万歩計は17,000歩超え。階段の上り下りや石畳が多いので、ちょっと膝が心配であるが、この後、大浴場で旅の疲れを癒し、明日も精力的に動く予定である。