家を建てる土地を決めるとき、考慮する条件はいろいろある。
うちの場合、静かな住宅地というのが気に入った点だが、
その代わり、買い物にはちょっと不便だ。
スーパーまで歩いていけないことはないが、ふつうは車を使う。
将来、年を取って運転できなくなったら、困るかもしれないが、
まあ、数十年先のことは、そのときになってから考えればいいと思った。
そのころには、どう変わっているかわからないし。
つい最近、それを実感する話を聞いた。
わたしの実家は名古屋市にあるが、わたしがいた頃は、周辺には
中小のスーパーのほか、個人商店もいくつかあり、買い物には困らなかった。
ところが、その後大型スーパーが進出してきて、それらはひとつまたひとつと
つぶれていった。とはいえ、大型スーパーで日常必要なものは揃うので
不便を感じることはなかった。
だが、今度その大型スーパーが地代の上昇で撤退することになった。
歩いていける範囲に食料品店がなくなってしまうのだ。
実家の近くには、住民が高齢化した団地がある。
車に乗れないお年寄りは、今後どこで買い物するのだろう。
人ごとながら心配してしまう。
何十年と住み続ける家の場合、土地を買うときにいいと思った条件が
いつまでも変わらないと思ったら大きな間違いだ。
そういう覚悟だけはしておいたほうがいいだろう。
ただ、うちの住宅地の場合、集合住宅はどんなに規模が小さくても禁止なので、
静かな住宅地という環境はかなりの年月、保障されると思う。
買い物が不便という点については、もしかしたら将来、
スーパーのネット宅配がさらに普及して、食料品・日用品はすべて
宅配でまかなえるようになるかもしれない。それを期待しようか。