一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1552   鳴くことのこの世は捨て場空蝉も    佳 津

2015年08月01日 | 

  蝉が脱いだその抜け殻と同様に、鳴き声も蝉はこの世に捨てているのだ、と作者は言う。言われてみれば、全くその通りである。

  さて、となれば蝉に限らず、ほとんどの動物は鳴く。勿論人間だって泣くのだから、つまり、ほとんどの動物は、鳴き声や泣き声をこの世に捨てている。

  生命誕生以来、数億年にわたり、様々な動物が鳴いて来たわけだが、一体その声は何処に消えてしまったのだろうか。例えば、動物は死んでも水や酸素、窒素、炭素、鉄などの金属に変化するが、消えて無くなるわけではない。しかし、音は何処へ行ってしまったのだろうか。本当に無くなってしまったのだろうか。それとも、空気中の何処かで今でもかすかに振動し、鳴りつづけているのだろうか。

12トンの松

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