友逝くや色なき風の中に立つ 章子
誰彼の安否気づかい秋に入る
台風や枕正して又眠る 洋子
秋彼岸しゃっきりしゃんの老女かな
座右に置く歪で固い榠樝の実 薪
敬老日洗面台に孫の義歯
どの家もコスモス群れる北信濃 豊春
秋の雷安保法案可決せし
雨上る此所を先途と法師蝉 炎火
赤とんぼニイタカヤマを昇りけり
台風に足留めされし旅居かな 歩智
いちじくを裂けば火花の散るごとし
彼岸花街路植え込み抜いて咲く 余白
ビルとビル隙間に咲ける彼岸花
離れいて募るいとしさ夕月夜 稱子
友癒えよ祈る日課や秋ざくら
虫時雨野営テントを組み終えて 雲水
この海の遥か台風生まれけり