生きる場はガラスの世界夜香蘭 海人
今一度布団に戻る余寒かな
桃色の土鳩の足の余寒かな 薪
強東風や人形風船煽り立つ
風が研ぐ空の青さや花辛夷 洋子
春隣小紋の似合う九十九髪
籠り居に風の音きく余寒かな 章子
夕ぐれの山懐に花ミモザ
日に三便バスに人なし余寒かな 鼓夢
他府県のナンバー増やし春来る
冬の海ハワイに向かう飛行雲 炎火
糖尿の予防に大豆鬼は外
赤蕪低空飛行の申告書 歩智
赤信号待つ一分のひなたぼこ
薬缶ちんちん余寒うろうろ待合室 雲水
神主の声朗々と冴え返る
鬼たちの逃げ去り跡のつぶれ豆 余白
土温み馬込の空も春もよう
四世代の百年屋敷梅香る 稱子
梅の香の帯解いてより主婦の顔
老夫婦春の畠でお弁当 豊春
麦踏の効能信じ荒く踏む